風邪に抗生物質は必要か?

梅雨前線の影響で山口県など土砂崩れの被害が出ていますね。不幸にして亡くなられた方のご冥福をお祈りいたしますと共に、行方不明者が全員無事発見されることを願っています。


昨日、長岡市医師会館にて行われた学術講演会は、長岡赤十字病院感染症科部長西掘武明先生を講師に「薬剤耐性菌の動向について−どのような使用法が望まれるか−」と題した講演でした。


西掘先生は、長岡医療圏における感染症診療のリーダー的存在の先生です。新型インフルエンザや新興感染症など頻度の少ない感染症が発生した時などは西掘先生を中心に各種対策がとられることと思います。


耐性菌は抗生物質や抗菌剤を使用する限り避けて通れない問題です。ただ近年はPKPD理論により、どのような使用法が、より効果的で耐性菌を作りにくいかがわかってきました。理想的な使用法が完全に浸透するには、今しばらく時間が必要でしょうが、若い医師を中心に拡がってゆくことでしょう。


耐性菌を生み出さないために一番いいことは抗生物質や抗菌剤を使用しないことです。今までは不必要な場合でも使用されてるケースが多くあり、これも耐性菌増加の大きな原因でした。


数年前、感染症学会や耳鼻科学会などがガイドラインで通常の”かぜ症候群”にはリスクの高い人以外は抗生物質の使用を控えるよう指針を出しました。昨日の講演会でも西掘先生は触れられました。臨床現場では難しい場合もありますが、抗生物質や抗菌剤はイザと言う時のために大切に使いたいものです。


”かぜ症候群”で抗生物質や抗菌剤を使用する場面は、高熱が3日以上続いたり膿性の痰や鼻水が見られる時などです。でも私ら漢方家はこのような場合でも抗生物質を使用しないで対処できたことを数多く経験しています。


でも医師の多くは重症例を経験しているので、どうしても用心のために使用するのですね。このあたりの考え方のバランスが難しいところですが現実にはもう少し控えめで大丈夫だと考えられます。


人の身体の治癒力を引き出す漢方薬と原因の病原菌をターゲットに攻撃する抗生物質や抗菌薬。上手に使用すれば少ない薬で最大の効果を上げることができますね。私ら漢方家は、漢方薬を適切に使用することで、抗生物質の使用を抑え、耐性菌の出現を防いでいるのです。

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