インフルエンザ再考

だいぶ春らしくなってきたとはいえ、まだまだ雪が降ります。今年は、冬の必需品の長靴だけでなく、少雪時のブーツ、さらには積雪期以外に履く普通の靴が玄関に並ぶ異様な状況です。来週の東洋心身医学研究会(会場:東京)は、何を履いていこうかと考え中です。何しろ関東のほうが大雪だったみたいですから・・・

さて、まだ頭の中の興奮冷めやらぬ感じです。先日聞いた徳島大学疾患酵素研究センター特任教授・木戸博先生の講演は、なるほどと思う部分と、本当?っていう部分と・・・とにかく良い講演でした。

まず、たいていの方はインフルエンザの流行シーズン前にワクチンを打たれていると思いますが(私は打ちませんけど・・・)、当然効果があると思っているわけです。効果とは、予防効果ですね。この効果は抗体価で確認するのですが、測定する抗体価は血中IgG抗体で、この抗体は予防にはほとんど役に立たない抗体です。ただ、侵入したウィルスに対して効果を表すので重症化が防げます。よく「罹っても重症にはならないから」と言われる通りです。でも、私も含めて多くの人は、予防もある程度すると思っているのではないでしょうか?

その予防は、粘膜粘液中のIgAが担うのですが、ワクチン接種ではあまり上昇しないのです。したがってワクチンは予防には全く効果がないと言えそうですが、臨床的には予防効果を感じるのはなぜでしょうか?たぶんブースター効果などが関係してくると思うのですが、想像の範囲内で留めておきたいと思います。

しかも、タミフルをはじめ抗インフルエンザ薬は初期に使うことが重要なのですが、初期に使う結果として早く治ることと引き換えに重症化を防ぐ血中IgG抗体が充分にできないことも明らかになりました。抗体ができないから再感染する可能性があるわけです。この対策として抗生物質のCAMが有効とのデータも示されましたが、抗ウィルス薬の使い方は慎重であるべきだと個人的には思います(一部の重症化しやすい人やリスクの高い人は除きます)。

個人的に、懇親会でいろいろ聞きたかったのですが、残念ながらその時間がほとんどありませんでした。いろいろな情報を私なりに整理してみると、予防に必要な粘膜粘液IgAは乳酸菌類に代表されるプロバイオティクスが有望でしょう。そして粘膜の繊毛運動を低下させないためのマスクや桂枝湯に代表される漢方薬も十分予防に役立つと思います。

その上で、効果的にIgG抗体をつくるために解熱剤の使用はタイミングを見計らう必要があります。そして食欲もキーワードとして話に出てきましたので、中期以降に現れる食欲の低下対策も漢方薬(中期には、食欲を改善する漢方薬が使われるのです)などを上手に使い、抗体を効率的に産生させることがポイントですね。

まだ興奮していて、うまく情報整理がつかない状況ですが、いくつかの疑問点を明らかにして、きちんと説明できるようにしたいと考えています。改めて感染症に対する漢方療法の素晴らしさに気づくことができた基礎医学の講演でした。


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