運動の多面的効果

火曜日に行われた講演会、新潟大学内分泌代謝内科准教授羽入修先生の「理想的な糖尿病治療をめざして」は、とてもよい内容でした。医療界は製薬企業との協力関係なくしては機能しませんから、どうしても多少なりとも企業の宣伝を交えた内容になることが珍しくありません。そのためには常に宣伝色を排除した見方をする必要があります。今回はそんな宣伝色がほとんどなく私としては十分満足できる内容でした。

講演時間の8割以上を「運動」に関する知見に当てられ、断片的に入れていた知識が統合されてきました。長い目で見て、患者さんにも医療経済上も、薬だけでなく生活習慣の是正が必要です。ですが、製薬企業の影が常に付きまとっているのです。その上で、糖尿病の発症に関係するインスリンが効きにくくなる状態(インスリン抵抗性)を運動療法により改善すると糖尿病の発症を大幅に抑えられたというデータを示され、誰もが納得しやすい科学的な視点での解明が進んできている現状を感じることができました。

このインスリン抵抗性の改善は、血圧を下げ、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールは増やすという効果もあり、2重3重に動脈硬化の進行にストップをかけます。メタボリックシンドロームと言われる病態の改善に一つの方法で効果的というものはほとんどないでしょう。しかもお金がかからないのです。

また運動によって、体重が減少し、脂肪量も落ち、脂肪サイズは小さくなり、反対に筋肉量や骨量は増加します。体重に大きな変化がなくても体脂肪率が減少するので健康度は大幅にアップしているのです。そのほか、自律神経障害や認知機能が改善することもわかり、体調やコミュニケーションに変化がみられるようになってきます。運動することでBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質が増加ることから認知症うつ病が改善することも理解できます。糖尿病とうつ病認知症は大きな関係があり、運動不足の解消でこれらを予防することも夢ではないかもしれません。

BDNFには、食欲抑制や褐色細胞を増やすことで基礎代謝の改善、グルカゴンの分泌抑制、糖利用の改善など、肥満やインスリン抵抗性を抑える効果も確認されています。

実際の運動には、1週間に10〜20エクササイズ以上の運動量が効果的とされますが、行動療法の立場からは「できるところ、できそうなところ」からスタートして継続することが重要ですので私なりにまとめた資料を作ってあります。今回の講演では聞けなかったことですが、NEATと言われる運動以外の動作によるエネルギー消費も肥満対策には意外と効果的ですので、上手に組み合わせてゆくようなアドバイスを心がけたいと考えます。

肩ひじを張った運動は、長続きしませんから、私の指導は緩いです(たぶん)。運動を意識しない運動や動作で健康管理ができたら最高ですね。多くの方は、運動と言うと身構えてしまいますが、最小の努力で最大の効果を狙ったアドバイスを工夫しています。これだけの効果を薬で補おうとしたら、金額も相当になりますし副作用の心配もありますから、運動は必要な健康ツールですね。
健康になるためのダイエットも併せて相談ください。


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