不眠症からの脱出

時々、「自分のやっていることは、人を幸せにするだろうか?」と考えます。学生時代に薬学を学び卒業して、ドラッグストア形式の薬局に勤めたものの洗剤やティッシュなどを運ぶことに疑問を感じ、調剤薬局に転職。調剤経験を積んで独立したものの、現代医療に満足できない多くの人に接し漢方を本格的に学び約20年。その一方で、薬だけに頼る医療に疑問を感じてきました。それは漢方薬・新薬を問わずです。薬局経営者の立場では、薬が動いて初めて利益になりますが、本当に治るということは薬を使わなくて良い状態が目指すべきゴールでしょう。もちろん、薬を使って病気を上手に付き合うことも病気によっては必要なことです。
ただ、例えば風邪を引いた原因が過労だったとして「風邪薬+栄養ドリンク」を思い浮かべる過去の自分がいました。でも休養は栄養ドリンクの補給で賄えるものではありません。運動に変わる薬もありません。薬を売ることを中心に考えていたら「人を幸せにできるだろうか?」との疑問が浮かんできます。薬を最小限で使用するには、その人の生活の問題(生活上の病理)を改善することも重要だと考えるようになりました。難しい問題ですし、経営上もメリットになるかわかりませんが、取り組んでゆきたいと考えます。

さて、不眠症に睡眠導入薬(いわゆる眠剤)や精神安定薬を処方され飲んでいる方は非常に多くいます。でも、多くの方は「できれば飲みたくない」とも考えています。薬局では処方箋なしで買える眠剤があります。でも市販品は抗ヒスタミン薬の副作用を利用して眠くなるので、睡眠の質はけっして良くないと言われます。

不眠症を改善するのに、眠剤はてっとり早い手段ですが、私の感触では多くの不眠症患者は「不眠に対する恐怖」を非常に強く持っているように感じています。どうやら睡眠に対する正しい知識が少ないことが、この恐怖をさらに強化増強しているようです。眠れなくても横になるだけで体の休養になります。頭の休養である睡眠は、本人が知らない間に行われると考えることの方が正しいようです。

今、私の不眠症相談は、いくつかの漢方薬を中心にして、自律訓練法を行ってもらうことを基本にしています。人によっては睡眠記録をつけてもらい、状況の把握をしながら改善状況を確認することもあります。自律訓練法は、私も学会員として積極的に話をしていますが、継続してマスターすると、安定剤や眠剤が中止できたり中止できなくても減量ができるとの報告があり、薬の離脱には欠かせないツールだと考えます。市販の睡眠改善薬は短期の使用なら問題ありませんが、ある程度の長期使用は睡眠の質の点からはお勧めできません。

漢方薬を使い、不眠症になっているバランスの崩れを正し、カウンセリングや心理療法で過度の不安や不眠恐怖を和らげ、自律訓練法で薬に頼らなくても改善できるスキルを身に付けてもらえたら、不眠症からの脱出は成功です。眠剤や安定剤は、できるだけ早期に中止にもっていく方が将来の認知症防止のために重要なことだと思うのです。20〜30年前に使われていた眠剤に比べ安全性ははるかに高いのですが、それは大量に飲んでも死ぬことは少ないと言うだけで薬の依存症になることに変わりはありません。

安易に薬を勧める経営手法からも脱出せねば、・・・「その人を幸せにするために」



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