虫刺されやかぶれの対処法

例年であれば、あと1週間程度で梅雨も明け本格的な夏がやってまいります。夏は、海・山・川とレジャーに出かけたりする機会が何かと多い時期で、しかも半袖など肌が露出しやすい服装が好まれます。したがって、虫刺されやかぶれ(接触性皮膚炎)の頻度が多く、薬局やドラッグストアでは虫刺されの薬が多く売れる時期ですな。まぁ当薬局は、そんな薬が飛ぶように売れるわけではなく、どちらかと言えば「なかなか治らないから相談に来た・・・」なんてケースがほとんどです。そんな経験から・・・

虫刺されと言って、どんな薬を思い浮かべるでしょうか?キンカン・ムヒ・ウナ・・・・、まぁいいでしょう。皮膚病も専門に勉強している立場から言えば、「虫刺され」と一括りにはしません。例えば蚊に刺された時と蜂に刺された時では、赤みや腫れの具合は全く異なります。また同じ蚊でも、人によって少し赤くなる程度の人から腫れてしこりになる人まで反応も様々です。なかなか治らないケースのほとんどは、この状態をあまり考えずに一括りに虫刺されとしているケースが多いようです。

赤みや腫れなどを、専門的には「炎症」と言いますが、この炎症を抑えるのには、嫌でなければステロイドを使うのが一番効果的です。「嫌でなければ・・・」と言ったわけは、非常に強くステロイド拒否をする方が時折いらっしゃるからで、その中でも半数くらいの方は説明を丁寧にすれば理解してくれるのですが・・・。ステロイドバッシングをするアトピービジネスの業者や信者に一方的な知識を植えられ、正しい判断力が働いていないように思います。だから、丁寧な説明が必要なんですけどね。

ただ、やはりステロイドは良く効く半面、副作用もあり(どんな薬も同じですけど)ダラダラと使い続けることはよくありません。そこで私が勝手に師と仰いでいる皮膚科医のルール「2週間ルール」の出番です。これは2週間ステロイドを使っても改善がなければ、診断も含めて作戦を練り直すというルール。ただ、虫刺されやかぶれなどでは1週間でよいように個人的に感じています。だから、「虫刺されやかぶれの1週間ルール」になります。

この1週間ルールに従って判断すれば、ダラダラとステロイドを使い続けて副作用が出ることも防ぐことができるのです。炎症とは、文字通り火事の状態ですから、火を何で消すか?ということです。ある程度、火が大きくなってからバケツリレーで消そうとしても恐らく無理でしょう。最低でも消火器、場合によっては消防のホースで消してもらう必要があります。火が何かに燃え移った程度では、消防車まで必要ありませんが、やはりTPOに合わせた戦略が必要なわけです。だから1週間ルールに従って、薬の強さを選べばいいわけなのですが、ここが知識と経験の差が出る所だと思っています。

私の場合、虫刺されなら、3日で収束に向かうであろう強さを考えています。この3日と言うのは虫刺されでは「強からず弱からず」の目安になり、弱ければ1週間使っても改善しにくいように感じているのです。逆にかぶれでは、1週間を必要としますが虫刺されに比べて炎症の面積が大きいので、当然炎症の深さも深いことが多く日数が長めになります。そう、皮膚病では、皮膚を平面で見るのではなくすくなくとも3次元の立体で考えるようにしないと効果的でありません。できれば時間経過も含めて4次元で考えるクセもつけたいものです。

で、3日や1週間の短期間で済ますから、副作用のことを考える必要はあまりないのです。ただ、時々とびひなどの化膿性皮膚疾患になっているケースを経験します。この場合はステロイドは一般的に逆効果ですから、私は極力皮膚の状態を見るようにしています。お金を出して、皮膚が悪化したでは、可哀想ですからね。
虫刺されやかぶれで、1週間以上たっても改善しないケースでは、それなりの理由がありますので「あれ?」と思ったらご相談ください。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/

過去のブログの主なものはホームページにリンクを貼ってありますから、見たい記事がありましたら《ひろはし薬局のホームページ→過去のブログ》から探してみてください。(現在の更新はしてませんが・・・)
  あるいは⇒http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/sub6.htm

メールは《Re:タイトル》でお願いします。メールマガジンの申込も随時受付中
     ⇒hirohash@seagreen.ocn.ne.jp

講演の依頼に関しては、ホームページに掲載してある講演内容を参考にして、お申込下さい