アトピー性皮膚炎を治す

夜行バスを使い、三重県鳥羽で行われた「アトピー性皮膚炎治療研究会」と「日本皮膚科心身医学会」に参加してきました。新潟に住む身としては、三重県は温暖な地ですから、雪が積もっていた風景を見た時にはビックリしました。南国とは言え、やっぱり冬なんですねぇ。でもあの程度の雪なら、きっと冬も楽しめるんでしょうね。

アトピー性皮膚炎治療研究会、全国からアトピー性皮膚炎の治療に熱意と使命感を持つ皮膚科医を中心とした集まりです。皮膚科以外の医師もいますし、もちろん私のような薬剤師も参加します。アトピー性皮膚炎が謎の多い皮膚病であることは、参加する度に感じます。しかし、ステロイド外用剤を中心とした治療をきちんと行えば、ほぼ治る(ほとんど症状を抑えていられる)ことは間違いないと言えるのではないかと感じました。

”きちんと”がポイントです。ステロイド外用薬の強さのランク(一般的には5群に分けています)を適切に選択した上で、充分な量(FTUという単位が基準です)を使うということです。強さは医師の処方次第ですが、皮膚に塗る量は患者さんで調整できます。私が相談を受けてきたケースでは、ステロイドの強さに疑問を感じることはほとんどありません。しかし、使用量になると、かなり少なく使っているというのが実感です。私も、5〜6年前までは「少なめに」と伝えてきた人間ですから偉そうなことは言えませんが、でも今現在でも「少なめに」と伝えている薬剤師がいることも事実です。

恐らく、多くの患者さんは、間違った指導により治りが悪い状態になっているものと思いますが、その状態で私のところに来るのです。この研究会に参加していると「如何にきちんと治療されないケースが多くあるか」との現実を目の当たりにする一方で、きちんとした治療を行なえば治るケースも多く存在するという事実も存在します。このことが、ステロイドを使っても効かない、ステロイドは副作用ばかり、というような極端な考え方につながっているのではないでしょうか。この考え方につなげることが、アトピービジネスと言われる産業の手段でもあるのですけどね。

私のところに、相談に来るケースの大半は「ステロイドを使わずに漢方薬で」ときます。漢方薬でも、もちろん治ります。ステロイドがイヤでなければ、ステロイドを使った標準的な方法も選択できます。重要なのは、どちらにもメリット・デメリットがあるので、そのことを充分に伝えた上で、納得してもらい(インフォームド・コンセント)、どの方法を選択するか、あるいは組み合わせるか、を一緒に考えることです。アトピー産業の情報は、正しいものもありますが、かなり偏っているものも多く、その情報を信じている人も多くいます。信じざるを得ないような状況に追い込んだのは、我々治療者なのだとも思います。

このブログを読んで、ステロイドを使っても構わないと考えている方は、アトピー性皮膚炎治療研究会のメンバーならきちんと治療してもらえると思います。もちろん、私のところでもアドバイスしますので、いつでもお声かけください。それでも、いろいろ考えて、どうしても使いたくない方は、漢方相談をおすすめします。アトピー性皮膚炎治療は、使用量としてのFTUと使用法としてのプロアクティブ療法が登場して、確実なものになってきたのです。そのことは、シッカリ知ってもらいたいと思います。漢方家だから、漢方だけ!では、医療人として不合格だと思うから、今回は敢えて、漢方の話題を抑えています。

アトピー性皮膚炎の本質は、ドライスキンですから、保湿剤で外から補うばかりでなく、自分の内から潤うような身体作りを漢方薬でできれば、より理想的なゴールに到達できるのではないでしょうか。
今回の研究会では、アトピー性皮膚炎の痒みの客観化に関する情報と外用薬の使い方を説明する工夫などを仕入れてきました。事務局の片岡先生にも、疑問を確認でき有意義な参加になりました。

翌日の15日は、皮膚科心身医学会で、私が「痒みに対してカウンセリングで軽快させているケース」を発表しました。詳しい内容は、またの機会にでも書き込みたいと思います。


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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
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