匂い・鼻炎・喘息

今年は1月からハイペースで飛ばしていました。と言っても大したことではないのかもしれませんが、研究会や学会での発表原稿や資料作成を4本抱え、忙しく過ごしていました。先週の漢方三考塾での担当を終え、しばらくのんびりできるかと思います。ただ、皮膚科心身医学会で発表したケースを論文化しようと思いますし、11月の心療内科学会での発表を予定しており、そのための準備期間と考えています。
ただ、発表した回数と同じだけ学会・研究会に参加してるので、新たな視点や情報も仕入れてきました。その情報を整理しながら、相談者に還元して行こうと思います。

今回は、色々ブログに書き込みたいことはたくさんあったなかで、いくつかの内容をまとめて書きます。今現在、私が心身医学を学び、日々実践した経験をもとにイメージしているモデルがあります。その中で視覚・聴覚・触覚などの感覚は直接脳に届くため、認知症うつ病などへの応用が期待されています。アロマテラピーなどはその典型でしょうし、漢方薬の香りにも嗅覚からの効果が示唆されます。もちろん良い結果を出すには、快い香りと感じることが重要で、脳の中では幸せホルモンのオキシトシンが分泌されているようです。腕のいい心理療法家は、セラピー・カウンセリングにおいて、このオキシトシンを分泌させることが上手いとされています。

この嗅覚がダメになってしまうのが嗅覚障害ですが、嗅覚は味覚にも大きく関係しており、匂いがわからない人は文字通り味気ない生活を送っています。嗅覚がダメになる疾患には、急性鼻炎・慢性鼻炎・アレルギー性鼻炎など鼻炎(鼻の炎症)が有名です。炎症の程度が重いほど、また症状が長引くほど嗅覚への影響は大きくなります。生活習慣病やアレルギーなど多くの慢性病の発症や重症化に関係しています。いろいろな機会をとらえてアレルギーの研究者に、アレルギーを発症する人(感作といいます)とアレルギーを発症しない人(免疫寛容といいます)の違いを質問してきましたが、いまだに明確な回答を得られていません。しかしアレルゲンと接触しても炎症が軽ければ感作しないのではないかとの仮説を最近になって立てました。アレルギーが増加している理由も、ある程度説明がつきますし、この仮説を研究者にぶつけてコメントを頂きたいと思っています。

鼻で起きている炎症は、はたして鼻だけなのでしょうか?実は、鼻から入った空気は肺まで一直線に届きますから、喘息との関連が深いとされます。実際に喘息のある人はアレルギー性鼻炎を持っている割合が高いですし、その逆も然りです。で、喘息の治療は発作がない時でも微小な慢性炎症が病態の悪化などに大きな影響があるとして、ガイドラインでは吸入ステロイドが必須とされているのです。アトピー性皮膚炎でも、プロアクティブ療法などは基本的にこの考え方に沿った治療法で、現実にコントロールしやすくなっていることから、アレルギーは微小慢性炎症がカギとなっていることは間違いないでしょう。

一方、身体疾患であっても心理的な要素が全くないことは珍しく、心身医学では心理的影響の関与度を見極めることが重要とされます。私の尊敬する前日本心療内科学会理事長の吾郷先生は、このことを強調されていますし私も全く同感です。吸入ステロイドが普及する前から、難治性のぜんそく心理療法も駆使しながら治療してきた吾郷先生だからの言葉と言えます。医学が発展し治療が容易になることは素晴らしいのですが、心と身体は別々ではないことを忘れないようにしなくてはなりません。

本当の意味での治癒、あるいは最小限の薬での治療、再発の少ない治療など、どれをとっても心身医学的な対応が重要だと感じています。ただ、薬局の相談で理想を追求しても利益にはなりにくいことが悩みの種ですが・・・。
炎症を抑えオキシトシンを分泌させること、今日のポイントです。


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