アルコール性肝障害を考える

大阪で行方不明だった中1男子生徒が残念なことに遺体で発見されました。先に遺体で発見された女子生徒と共にご冥福をお祈りいたします。また関係者の皆様の苦しみを興味本位でかき乱すことのないよう心がけたいものです。TV報道で何度も流された寝屋川市駅周辺の様子は、先日参加したシステムズアプローチのワークショップで近くのホテルに宿泊していましたから、全くの他人ごととは思えない事件です。猟奇的とも思える今事件の真相を明らかにして悲劇が繰り返されないように願うばかりです。

さて、日々いろいろな相談を受けていますが、本人に治療に参加する気が無いと今までは何も手出しができませんでした。「漢方薬なら何とかなる・・・」と期待されてきますが、大抵の漢方薬は美味しくないのに本人は問題に全く気付いてない状況では、初めから「漢方薬を飲まない」ことが明らかです。それでもアレコレ努力もしてきましたが、現実は見事なまでに無残な結果でしたから・・・、「本人に漢方薬を飲む気が無ければ・・・」と自分の無力さを棚に上げ相手に責任転嫁していました。(今は違いますよ!)

いつから変わったのでしょうか?漢方相談に力を入れ、東洋医学会に入り、東洋心身医学会で心療内科学会に誘われ、心身医療を学びながら皮膚科心身医学会に参加して家族療法学会に誘われ、そこで色々な心理療法と出会いました。今回参加したシステムズアプローチは家族療法の核となる手法です。家族療法学会に参加して、本人に病識や治療意欲が無くても関われる方法があることを知り、今まで断っていたようなケースでも、可能性があることを伝えることが出来ています。

アルコールや薬物関連の問題には、システムズアプローチによる家族を利用した家族療法がありますし、認知行動療法などを取り入れたCRAFTやSMARPP(クラフトやスマープ)などもあります。私のところに相談に来る方はごく一部の方でしょうが、たぶん多くのところで断られてきたはずです。最後の望みを漢方薬に求めたに違いないと推測しますが、この望みをバッサリと切り捨てずに済むようになったことは相談を受ける立場としては非常にうれしいことなのです。

先日のケースは、アルコール性肝硬変になっているのでは?と疑われるものでした。ただ本人は大の医療嫌いで、すぐに受診させることは不可能な状況なので、CRAFTを紹介してあげました。いつでもアドバイスすることを伝えてありますが、今のところ連絡はありません。もう少し深く介入すればよかったかもしれませんが、薬局というのは難しい立場ですね。アルコール依存症などに詳しい医療機関を知らせて、次の相談先がどこになるのかはわからないものの、希望をつなげることは出来たと思います。

ただ、気になるのは身体的な問題で、肝臓の状態を考えると1日も早い方がいいことに違いありません。沈黙の臓器《肝臓》は、肝炎から肝硬変そして肝臓がんへと症状は進行します。多くのウィルス性肝炎がコントロール可能になった現在、アルコール性肝炎と脂肪肝による非アルコール性脂肪肝炎が今後の大きな問題になると予想されています。アルコールの場合、飲酒習慣に大きく影響されますし、依存症ともなれば「飲み過ぎに注意しましょう」「しばらく控えてください」などのアドバイスは無力でしょうね。

依存症になると、今までの家族関係を切り替えるくらいの強い覚悟が必要となりますし、場合によっては警察による介入も視野に入れておく必要があります。トラブルを表面化させないために家族は家庭内での飲酒は大目に見ますが、これが逆効果だと気付いている方は多くいません。一旦出来上がった依存症は、何が何でも辞めさせないとズルズルと続くことになるのです。だからこそ、本人だけでなく家族にも治療に参加してもらうことが重要ですし、家族を参加させる家族療法だけでなくCRAFTやSMARPPも家族が学ぶステップがあるのです。
本人に協力が得られるようになったら、本人の状態や信頼関係により、医療機関なり漢方薬なりで新たな関係を作ることになります。この時に使う漢方薬は専門医療機関につなぐまでのステップに過ぎませんから誤解なさらないようにしてください。

そして、重度のアルコール性肝障害は致死的であることを誰もが知っておく必要があります。「酒は微酔に宜し」と貝原益軒が言うように、ほどほどのところで抑えることが出来れば百薬の長なのかもしれません。ストレス発散の方法としての飲酒は、やはり依存症になりやすいとの印象があります。アルコールに逃げ込むような状況を作らないように注意したいものですね。



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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
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