祝日の翌日は、なんとなく月曜日と勘違いしてしまいます。ですから、昨日の水曜日午前中はいつの間にか月曜日との感覚になっていました。今日(木)は大丈夫です。で、一昨日の文化の日は、文化的な生活を全くせずにチェーンソウとノコギリを持って庭木や果樹の枝払いをしていました。お蔭でグッスリと眠ることができましたし、朝の目覚めも自然な形でスッキリしています。この調子の良い時に、難病の相談などがあれば、満足できる提案をしてあげることができるように思うのですが・・・。
ということで、今回は時間医学についてです。先週新潟で行われた「こころのケア研究会」で、『生体リズムと不眠』と題した東京女子医大東医療センター・時間医学老年総合内科教授・大塚邦明先生の講演を聞いてきました。私が専門としている漢方医学や心療内科・心身医学でも、肉体だけを対象とするのではなく、心・精神や周囲の環境など身体と関わる全てのことを含めて相談にあたることを重視しています。ですから、食事内容やコミュニケーションなどに踏み込むことも多々あり、それらへの気づきから生活スタイルが変わり病気の回復や再発防止に効果的に働くと考えています。
今回のタイトルからは、腸内環境も重要なのですが、久々でもありもう一つの時間医学の視点から病気を見つめてみたいと思います。私の尊敬する総合診療医・ドクターGの山中克郎先生は、「生活の中から病気が生まれる」というような主旨のことを述べていることから、生活習慣病だけでなく多くの病気と関係が深い日常生活を知ることは、とても大切なことがわかるでしょう。時間医学は、暮らしの中の一部分・生活リズムに焦点を当てた医学ですが、多くのことがわかってきたので上手に活用して、病気の治療・悪化防止・再発防止・予防に役立てたいと思います。
うつ病を早期に発見する簡易な方法として「よく眠れていますか?」という質問があります。眠れなくなるからうつ病になるのか?うつ病だから眠れないのか?の議論はここではしませんが、眠れないことによる身体への影響は、精神面にも身体面にも及びます。身体の働き(機能)は、臓器や細胞(器質)に問題が無くても、「何となく調子が悪い」「検査しても異常が見つからない」などの症状や悩みを生みます。このような場合に診断名として、自律神経失調症や更年期障害やうつ病(あるいは神経症)または気のせい・・・などが使用されることが多いようです。
時計遺伝子が発見されてから、メインの時計が視床下部・視交叉上核にあることがわかりました。視床下部は自律神経のバランスに大きく関係し、視床下部ー脳下垂体ー副腎経路または視床下部―脳下垂体ー甲状腺系などのルートを通して身体の恒常性(神経バランス・免疫バランス・ホルモンバランス)を保っています。ですから、視床下部の機能低下は、身体のあちこちに異常が生じることにつながります。
メイン時計のリズムに狂いが生じると、視床下部は本来のリズムとの違いから混乱を来たすことになり、各経路の伝達や恒常性の維持がスムーズに行われなくなると考えれば理解しやすいでしょうか。夜型の生活パターンや屋内活動の多い生活(日光に当たらない生活)、朝食抜きや休日の寝溜めなどの習慣は、メイン時計を狂わせ、修正する機会を奪う悪習慣と時間医学では考えます。
大雑把に言えば、昼間は活動し夜間は休息するように身体のプログラムは出来上がっています。昼は活動しやすいように、血圧を上げ血液を全身に巡らし、気管支を拡げることで十分な酸素を取り入れられるようになっています。一方、夜間は昼間の活動で傷ついた組織を修復し回復を促すホルモンを分泌して、単なる休息ではなく翌日の活動に備えています。
夜間の修復が上手く機能しないと、場合によっては傷ついた細胞が悪性化し、増殖する(つまり発癌)ことになります。また、夜間は免疫系の細胞も活発になる時間ですから、この働きに影響が出ればガンや細菌感染の危険性が高くなるのです。経験上、睡眠不足などがあると風邪をひきやすくなることがわかっており、実際には4倍もの罹り易さとの報告が最近ありました。
また、抗がん剤は夜間の使用が効果的とされるのも同様の理由からですが、実際はマンパワーなどの点から普及してないことは残念なことです。
ですから、夜間の睡眠を単なる休息と考えるだけでは大きな過ちを犯す可能性があり、健康を維持するのにも病気を治すのにも大きな働きがある機能だと考える方が良いのです。
睡眠は脳のクリーニングでもあり日中の情報を取捨選択し整理する機能ですから、この働きに異常が出れば脳は混乱し精神疾患を生む土壌となります。うつ病だけでなく、統合失調症やアルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの発症も無関係では無いだろうと予想できます。
さらにホルモンバランス(内分泌系)の崩れは、代謝だけでなく全身のあらゆる機能を乱し、糖尿病・高血圧などの生活習慣病の原因として無視できません。
急速に変化しつつある夜型生活パターンは、人類が相当長期間かけて築き上げた生活リズムに調和した心身の自然なリズムと機能を危険に晒していると考える時に来ているのでしょう。
漢方が総合診療であるなら、目の前の症状だけに注目するのではなく、もっと積極的に日常生活のなかの背景(食事だけでなく、生活リズム・生活環境・職場環境・服装・対人コミュニケーション・・・など)に注目し、活用し、少ない薬の使用で最大の効果を上げるようにしないといけないのでしょうね。時間医学の要素を最近意識してこなかった自分への自戒を込めて、改めて勉強し直して実際の相談へ活用してみようと思います。
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