アルコールにまつわる話

世のご婦人方の悩みにつけ込んだ商売でしょうね。コーヒー浣腸を販売していた会社の社長および関係者が逮捕されました。ダイエット・便秘などのキーワードに魅かれて、購入した人にどうコメントしたらいいか適切な言葉が見つかりません。当薬局にも以前問屋さんから当該商品(カ○ェコ○ン)の紹介がありましたが、当薬局のポリシーに合わないため取り扱いを断った記憶があります。あの売上額を聞く限り、取り扱った薬局も相当な利益を上げたのでしょうね。利益になれば扱うという薬局経営者もいますし、ポリシーに合わなければ扱わない経営者もいます。結果論ではありますが、扱わない選択をして良かったと考えます。

一方で、当該商品により体調を崩された方には、1日も早い回復を願っております。ダイエットも便秘も理屈は難しくありませんが、実際の対応となると個人個人のライフスタイルやら程度やらを考慮することが重要になるので簡単なものではありません。簡単なものほど注意が必要なのかもしれませんね。貴方が相談する人は、客観性を有して適切なアドバイスを提供できる方でしょうか?《かかりつけ薬剤師》なる言葉を聞く機会が増えてきています。メインの薬剤師に加え、セカンドオピニオンできるサブ薬剤師も見つけると良いのではないかと個人的には考えています。

さて、師走!巷では忘年会も始まったようですし、年が明ければ新年会、そして歓送迎会と飲酒の機会が続きます。お酒にまつわるいろいろな噂(都市伝説?アルコール伝説?)がある中、いくつかを検証してみましょう。

噂その1 空きっ腹で飲むと酔う 答え ホント!
通常、体の中に入ったアルコールは、約20%が食物と共に胃から、残り80%が小腸から吸収されます。食物が消化されるまでのあいだ胃の出口(幽門)は収縮して、アルコールも小腸へすぐに流れないため吸収は遅れます。しかし、空腹時に飲むと、アルコールは胃を素通りして小腸に流れ込み、吸収が早くなってしまいます。そのために、空腹でお酒を飲むと、酔いやすいのです。
 一方、「飲む前に牛乳を飲んでおくと、膜ができてアルコールの吸収が抑えられる」という話もありますが、これは間違いですね。アルコールの分子はごく小さく、牛乳で膜ができたとしてもアルコールはそのすき間を通過して吸収されてしまいます。牛乳の膜は、アルコールの吸収を抑えるより、アルコールの刺激で胃が荒れるのを和らげる効果を期待する方が妥当でしょう。

噂その2 枝豆、焼き鳥は酔い防止にもなる  答え ホント!
肝臓がしっかり働くには十分なタンパク質が必要ですが、枝豆=大豆は“畑の肉”と言われるほどタンパク質が豊富で、100g中に約12gものタンパク質を含んでいます。動物実験では、高タンパク質のエサを与えられたラットで、血液中のアセトアルデヒドの量が増えにくいという報告もあります。枝豆と同じようにタンパク質が豊富な焼き鳥などの肉類、刺し身などの魚、卵料理も同様にお薦めです。また、タコやイカ、ホタテ、シジミといった魚介類には、タンパク質のほか、タウリンという成分が豊富に含まれ、胆汁の分泌を促したり、アルコールの代謝に必要な酵素の作用を助けたり、肝細胞の再生を促進する作用があるので、積極的に食べましょう。

噂その3 体を動かし、汗をかいた方がいい  答え ウソ!
 二日酔いの朝は、ジョギングやサウナで汗をかけば、一緒にアルコールが抜けるという噂は、間違いです。特に、だるさや吐き気、頭痛などがひどい場合は、アルコールによる脱水症状であり、十分に水分・ミネラルを補給することが大切です。肝臓は、アルコールを代謝するためにエネルギーを消耗しているため、肝機能を正常に戻すために、肝臓に十分な血液を送るようにしなければなりません。そのためには安静が大切になってきます。横になっている時に肝臓に流れる血液の量を100%とすると、立つと約70%、歩くと約50%になるといわれています。
 またアルコールの分解に必要な時間は、1時間当たり「体重×0.1g」。体重50kgの人なら1時間に処理できるのは純アルコール5gとなります。ビールならコップ半分の量に相当しますから、大瓶2本を飲んだとすれば12時間かかる計算です。翌日の酒気帯び運転には注意しましょう!
そして、アルコールが分解される時には大量のビタミンB1を消費します。飲酒によりビタミンB1が不足気味になると、翌日の疲労感が増しますから、飲んでいる最中も飲んだ後も意識して摂りたい成分ですね。

噂その4 月経中、女性は酔いやすい  答え ホント!
 酔いやすさは、その日の体調によっても大きく左右され、女性の月経周期もその一つです。特に排卵後から生理中にかけては、身体全般の機能が低下しがちで、アルコールの代謝能力も弱くなり、普段と同じ量を飲んでも酔いやすくなります。さらに、排卵後は黄体ホルモン(プロゲステロン)が多く分泌されるため、この作用でイライラや抑うつ感、やる気が起きないなど、精神的にも不安定な症状を起こす月経前症候群(PMS)が起こりやすい時期です。イライラ感を除こうとアルコールに頼ると、量も増えやすく、悪酔いや二日酔いを助長する原因になります。できるだけ生理中の飲酒は控えめにしたいものです。

『養生訓』を著した江戸時代の儒学者貝原益軒は「酒は微酔に飲むが宜し」と言ってます。この微酔が難しいのですが、なんともカッコイイ言葉として記憶に残っています。アルコールを飲む人ほど脳の委縮が進んでいるとの報告もありますから、認知症対策としても飲み過ぎには注意しましょう。最後に、飲酒後の脱水状態を改善しアルコールの解毒を早める漢方薬もあります。「○蔯○苓○」といいますので漢方薬局で相談ください。バッチリ効くと思います。




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