腎臓を守り透析導入を防ぐには・・・

日頃いろいろな相談を受けていると、私たちの身体は複雑で見事なネットワークで出来ているなぁと感じます。それは現代医学的な視点だけでなく漢方医学的な視点から視ても同様で、この身体の仕組み・バランスを崩さないように調整し、本人の回復力を引き出すのが私らの仕事と言えるのでしょう。若い頃は聞きかじった断片的な知識で治してやる!と意気込んだものですが、病んだ身体は私らが”治す”のではなく”治ってゆく”もののようです。出来る限りこの自然な治る過程を邪魔しないことが大切だと感じています。

先週に新潟で行われたペイン・マネージメント・ミーティングでは、「薬剤性腎障害とNSAIDs」と題して新潟大学・腎膠原病内科・成田一衛教授の講演がありました。腎臓は非常にデリケートな臓器で、血圧が高ければ腎臓に流れ込む細い血管が動脈硬化によりダメになりますし、血圧が低かったり血管が細くなったりして血流が減少すれば栄養補給が不十分になってダメになります。ですから腎臓自身が血圧を調整する仕組みを獲得して腎臓に適した血圧と血流を確保するように働きます。

その上で、血液中の老廃物など不必要な物質を尿中に捨て、一旦捨てた薄い原尿から水分やミネラルなどの利用できるものは再吸収して濃い尿を作っています。計算すると、この過程で100倍の濃縮が行われていることになり、このことは血液中の100倍の濃度の老廃物・有害物質に腎臓の組織は晒されていることを意味します。改めてみると肝腎要(かんじんかなめ)という言葉の重みを感じざるを得ませんね。

できるだけ腎臓に負担をかけないように生活しなければダメになるわけですから、先ずは塩分の節制により血圧を良好に保つことですね。加えて添加物の多い食品を控えることも腎臓のために重要なことだと考えます。また最近は糖尿病による透析導入が急増中ですから血糖管理・体重管理も腎臓のためになります。

そして多くの薬剤も腎臓から排泄されることですから薬の使用にも細心の注意を払いたい所ですが、医療関係者でもなければ勝手に薬を減らすことは逆に体調を悪化させることにつながるので、できることは生活改善になります。でも生活改善もバカにできなくて食事に工夫したDASH食により降圧薬(血圧を下げる薬)を1〜2種類減らすことができる計算になるのです。

比較的に多く使用されている鎮痛薬(NSAIDs)には腎臓の血流を減少させて急性腎不全を発生させる危険性が知られています。人によっては、整形外科以外にも内科や耳鼻科など複数の診療科にかかり鎮痛薬が2重3重に処方されているケースもあります。ここは薬剤師のチェックを働かせる必要がありますが、やはり気を付けてもらいたいものです。心不全などの病気が無ければ多めに水分を摂取することが予防策になると成田先生は話していました。でも多過ぎれば逆に問題も生じる可能性もあり難しいところです。

糖尿病性の腎症で透析直前の人の相談を受けていますが、腎臓に負担をかけない生薬で比較的に上手くいっています。考え方としては腎臓の糸球体を強化する生薬と血圧を上げなくても血流を確保できる生薬を組み合わせています。腎機能は加齢に伴って毎年少しずつ衰えてゆきますが、病気によりスピードが上がり透析となります。このスピードを極力遅くさせることができれば透析に至らずに済むことができるでしょう。腎不全になると食事は糖尿病食よりも味気ないものになると言われます。食事の楽しみが減ると人生の楽しみも通常低下します。より良い充実した人生にするためにも腎臓のことをもっと大切に考えても良いのではないでしょうか。


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