「太れない」悩みを解消する

世の中には情報が溢れており、私の関係する医療分野でも最新の情報が簡単に手に入るようになりました。とても素晴らしいことですし、今や情報は一部の専門家のものではなくなっています。その一方で、専門知識を欠くことにより情報の質を判断することができず、盲目的に信じた結果として実害が生じることも珍しくありません。新たに知り得た情報を吟味する時、必ず反対の意見も聞いて(見て)客観的に判断することが重要になっています。この判断が出来にくい時は信頼できる専門家に相談することも大切ですね。情報発信者にしてみれば、表現は過激で極端な方が注目されますから、その意図の分は差し引かないと正しく判断できなくなります。私の文章、皆さんはどのように評価を下すでしょうか?

先日、糖質制限ダイエットを行い「おやじダイエット部」の活動で知られる作家の桐山秀樹さんが急死していたとワイドショーで知りました。糖質制限食は近年注目されているダイエット法で、体重減少効果は多くの人が認めることでしょう。ただ、漢方の立場では極端を嫌いますから、行き過ぎた制限は逆効果になるのでは?と考えていました。方法が簡単なために誰でも取り組むことができることから、安易な情報発信は危険だと考えていました。ですから私はブログには敢えて書かず、必要な方に直接説明する方法をとっていたものです。今回の急死は糖質制限とは関係ないとされますが、糖質(炭水化物)を極端に減らしている方は、ご注意ください。

世間ではダイエットに関する話題が溢れています。痩せたい人が圧倒的に多いのですが、反対に太りたいと考えている人もいます。痩せていると体力的な面で悩みを抱えていたり、食べたいのに食べれないとか、下痢しやすいとか、病気の回復が遅くなったりとか、・・・何かと不自由を抱えているものです。もちろん、痩せていることに満足している人も多く、極端な痩せでなければ問題とする必要もありません。ただ、高齢になれば筋肉が衰えてきますし、筋肉量の減少が要介護に結びついたり、感染症などの病気に罹り易くなったりするなど、高齢化が急速に進んでいる日本では対策が必要なのです。そこで「健康に太る」ための方法を考えてみましょう。

まず、食物を食べて、消化吸収を行い、代謝によって身体の組織になって、初めて体重が増加します。大切な点は、この時に増えて欲しいのは筋肉や骨や血液であって脂肪ではないということです。脂肪で体重が増えても健康的に太ったことにはならず、逆に健康度を下げることになります。このことはダイエットにも当てはまり、健康的に体重を落とすには脂肪を減らさなくてはなりませんが、多くのダイエット法では脂肪以外の大切な組織(筋肉や骨など)が衰え、健康学の点からは問題が多いのです、注意してください。

まず、「食べ物を食べる」ことを考えてみましょう。胃腸の調子が悪くて食欲がないケースもありますし、歯が少なくて良く噛めないケースだってあります。隠れた摂食障害の人や飲み込む嚥下機能に問題を抱えた人など、食べて飲みこむだけですが、いろいろな問題が存在します。ですから、どの部分に問題があるのか明らかにしないと適切な対策が打てません。近年増えている胃腸の病気に機能性胃腸症といわれる病態があります。胃や腸そのものには特別な問題が見つからず「異常なし」「気のせい」などとされていることも少なくないのですが、呼称のように胃腸の機能に問題があるので、この機能を改善すれば良いのです。このような場合は漢方薬が得意とする分野ですので、多くの種類がある漢方薬の中から体質に合ったものを専門家から選んでもらえば快方に向かいます。時に食欲が回復した方から「人生が楽しくなった」との声を頂くこともあるくらいです。

次に「消化吸収を行う」のは胃・小腸です。先ほどの食欲などとも関係しますが、東洋医学では消化吸収には《肝》と《脾》の働きが必要とされ、この働きを含めて考えることがポイントです。《肝》と《脾》はストレスの影響も受けやすく、現代社会に生きる私たちは多かれ少なかれ《肝》と《脾》が弱っていると考えなくてはなりません。慢性的な人ではストレスの対処法を身に付けることも大切になるでしょう。そして、特に《脾》の働きには甘い食物(炭水化物)が必要とされてますから、糖質制限を行うことは《脾》の働きを弱めてしまうことになります。もっとも、太りたい人は糖質制限など行わないと思いますが・・・。

そして「代謝して身体の組織にする」には運動も重要です。体力がなくて運動できない状態でも少しずつ活動を増やしてゆけばいいのです。過度の安静は体重が増えても脂肪増加の割合が高く健康度の上昇にはつながりにくいので注意が必要ですね。また運動のタイミングにより筋肉の増加が変わることも知られており、食事・栄養摂取の前後が効果的だと言われます。ですからスポーツ選手などは、これらの運動栄養学の結果を上手く活用しています。今私は要介護状態を遅らせ健康寿命を延ばすには、とても重要な視点だと考えています。内臓を手術された方の体力回復にも役立つ視点ですから、術後の回復が遅れている方は胃腸の状態と併せてタイミングや日常活動もチェックすることをお勧めします。

この他にも、下痢しやすい体質の方も多くいます。下痢になりやすい状況は人それぞれでしょうが、どのような状況で下痢になるのかチェックすると対策も立てやすくなります。心理的ストレスが影響するようなら心理療法で改善することも可能ですし、冷えが関係したり、脂肪の多い食事が関係したり、ハッキリすれば解決策が見つかります。

今回は「太れない」いくつかのパターンを挙げて説明してきました。「太りたくても太れない」と悩んでいる方の参考になれば幸いです。



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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー)
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