胃腸のアレルギー

相模原の障碍者施設で起きた事件には驚かされることばかりです。亡くなられた方のご冥福と被害者並びに関係者の皆様が1日も早く平穏を取り戻されることを心より願います。どのような人でも、必ずその人の存在によって勇気づけられている方がいるもので、犯人は殺害した人の何倍もの人の価値ある人生を奪ったのです。妄想性障害との診断を聞きましたが、うつ病など精神疾患に対する理解が進んできたこのタイミングで、逆に偏見が助長されないか心配しています。正しい情報収集を心がけましょう。

私は明日から始まるブリーフサイコセラピー学会に参加してきます。日本語で表現するなら短期心理療法となるでしょうか。身体の病気も心の不調も、今や如何に短期間で回復させるかが重要課題となっています。いろいろなテクニックを駆使し統合して短期間で結果を出せるよう、私らは努力しています。その研修と情報交換の場が学会ですので、お土産を持って帰ってくるつもりです。

さて、本日のタイトルに戻りましょう。アレルギーというと《アトピー性皮膚炎》とか《花粉症》や《食物アレルギー》を普通は思い浮かべることと思います。でも、私らの身体は、どの臓器がアレルギー反応を起こしても不思議ではないようです。消化管も同様にアレルギーを起こし、食道で起これば好酸球性食道炎、胃腸で起きれば好酸球性胃腸炎と病名が付きます。「好酸球性・・・」というのは、アレルギー反応では白血球中の好酸球の割合が増えてくることからつけられた名称で、実際に組織を顕微鏡で見ると好酸球がたくさん集まっている様子が観察されます。

私が「好酸球性胃腸炎」という名称を初めて聞いたのは2〜3年前で、知り合いの消化器専門医に聞いても実際の症例は知らないというくらい稀な病気だったと思います。最近の報告では胃腸疾患1000人中0.5〜1人の割合で確認されるといい、以前の報告に比較して増加していることは間違いないようですね。

この胃腸のアレルギー増加の背景には何があるのでしょうか?胃腸だけでなくアレルギー疾患が全体として増加している背景に、皮膚からのアレルギー原因物質の侵入(アレルゲンの経皮感作)が熱い注目を集めているのです。ことの発端は「茶のしずく石鹸によるアレルギー事件」ですが、行き過ぎた清潔志向の影響でしょうか皮膚バリアの破壊が関係していると考えざるを得ません。
このことを裏付けるように、国立成育医療センターの大矢先生のグループが、乳児に対する早期からの保湿ケアがアトピー性皮膚炎の発症を予防するとの報告をしています。

過度とも思える清潔志向が益々加熱するようなら、好酸球性胃腸炎だけでなくアレルギー疾患の総数は加速度的に増加することでしょう。決して「不潔がいい!」と言っているわけではありません。現代社会においては、特別に「清潔」を意識しなくても充分な清潔状態を維持できていると思われるのです。メーカーの戦略に踊らされることなく、客観的に大人の判断をすることが重要なのではないでしょうか。

好酸球性胃腸炎に対する治療法は、ステロイドが一番とされます。しかしステロイドを飲むとなると全身性の副作用もリスクとして考えなければなりません。ですが、好酸球性食道炎なら喘息治療に使用される吸入ステロイドを代用することも可能なようです。内服することと違って、ステロイドの使用量は激減しますし、食道局所に作用させますから全身への影響もほとんど心配ないレベルに理論上なります。

東洋医学的には、アレルギー反応=炎症を《熱》と考え、オウレンやサイコなどが配合された《清熱薬》を中心に使用することになるでしょう。ステロイドの効かないケースや副作用でステロイドが使用できないケースなど漢方薬の出番は少なくないと考えます。どちらにしても、アレルギー反応を起こさないようにすることが一番大切ですから、過度の清潔志向に注意することと、乳児期からのスキンケアの重要性、この2点を意識したいものですね。



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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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