治らない痒みの原因は?

今、我が家ではキンモクセイが一斉に開花し、毎日甘い香りに浸っています。1年ぶりに嗅いだ香り、過去の懐かしい思い出も浮かんでくるから不思議ですよね。
そう言えば、つい最近、以前相談された方から連絡があったり、当薬局を思い出してまた相談に来てくれたり、嬉しい限りです。BSフジTVで放送されていた「BARレモンハート」の一場面ですが私の好きなセリフがあります。「世の中にはたくさんの素晴らしい出会いがあるけれど、一番尊い出会いって何だと思う?」「さぁ、何でしょう…」「再会だよ」と、語り合う場面があります。
時々、思い出して連絡をくれたり、相談に来てくれたり、確かに再会って一番ありがたい出会いですね。

さぁ、困ったときの相談に応えられるよう、頑張りましょう。
私たちが感じる感覚のうち、「痛み」は辛いことで有名ですけど「痒み」も痛みに負けないくらい当の本人にとっては辛いものです。痒みの原因が皮膚に由来するものならば、皮膚科的な対処法で解消あるいはコントロールすることができます。例えば、アトピー性皮膚炎ならばステロイド外用薬と抗ヒスタミン薬の内服でほぼコントロールできますし、秋から冬にかけて増える皮脂欠乏性湿疹や乾皮症では保湿剤の使用でコントロールは可能です。もちろん漢方薬によって、外用療法や抗ヒスタミン薬内服でもコントロールが利かない痒みを解消することもできます。

でも、皮膚科的には全く問題の無い「痒み」もたくさんあります。糖尿病や肝臓疾患や腎臓疾患で見られやすいのですが、中には悪性腫瘍(ガン)によることもあります。皮膚科的には原因の無い痒みは、重度の病気があるかもしれないことを常に意識しておく必要がありますね。そして、その病気の治療により一般的には痒みはコントロール可能になるはずで、痒みのコントロールが不十分な場合は治療を見直すと良いでしょう。

因みに痒みを起こす可能性のある疾患として、糖尿病・多発性硬化症・閉塞性肝疾患・肝硬変・慢性腎不全・腎臓透析・多血症・鉄欠乏性貧血・甲状腺機能異常・副甲状腺機能低下・痛風悪性リンパ腫白血病・ホジキン病・全身性エリテマトーデス・シェーグレン症候群……などが知られています。また、強迫神経症や妄想性疾患などの精神疾患心理的ストレスによる痒みもあり、痒みの相談には多角的な知識とテクニックが必要とされます。

私ら漢方家は、このような痒みに対しどのように考えると思いますか?薬局といえども原因疾患を明らかにすることは重要なことで、例えば痒みをコントロールできても白血病に気づかず病気を進行させてしまっては本末転倒です。その上で、発汗・排尿・排便状況を聞いたり、時間的な症状の変化や悪化・軽快する要因を確認して、五臓(肝・心・脾・肺・腎)や気・血・津液(水)の異常やバランスの崩れを見つけます。ここまできたら、五臓や気血津液の異常やバランスの崩れを正す漢方薬を使用すれば良いのです。

一例を紹介します。20代の女性で、春先から痒みが始まり近医で抗ヒスタミン薬を処方してもらったけれども全く効果がなかったということで、母親に紹介されて来局しました。この方の痒みの特徴は、春先に始まり、入浴や飲酒などで温まると痒みが強くなるということです。東洋医学では、春先は肝と関連する季節とされますし、飲酒も肝と大いに関連があります。肝は血を蓄える臓器ともされ、入浴により温まった血が肝に熱を運んだ結果として痒みが発生したと考えました。そこで肝と血を冷やす漢方薬を飲んでもらい1ヶ月で痒みはほぼ解消して相談も終了しました。もちろん、この方には東洋医学的な病理の説明をして、再発しないように生活上のアドバイスを伝えています。

長期間のまなければ効果がないと思われがちな漢方薬ですが、現在の私は、できるだけ少ない漢方薬で、極力短期間で、飲み続けるのではなく卒業できるようなアドバイス、を意識しています。そして、今まで経験からそのことは不可能ではないように思いますし、その方向で研究研鑽を重ねています。
漢方薬に対するイメージが、すこしでも良い方向に変わったなら幸いです。




漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
http://hirohashi-pharma.sakura.ne.jp/ (アドレスを変更しました)

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