「逃げるは恥だが役に立つ」こんなタイトルのドラマが始まりました。
大きな災害の度に「頑張ろう!」「負けるな!」と繰り返され、危機的状況を乗り越えてきた感があります(表面的には、、、)。そして、日本人に馴染むのでしょう、「前向きに」「上を向いて」などの言葉も、よく耳にします。そんな風潮に一石を投じるようなタイトルの番組が始まり、私は好ましく思っています。頑張り方には個人差があるし、「負けるが勝ち」なんて言葉もあります。後ろを振り返ったり、下を見ることで気づくこともあります。調子が悪い時って今までのパターンでは対応が困難ってことでもありますから、今までの凝り固まったパターンを緩める意味で「???」と考える時間が必要ですよね。専門家が素人の話にヒントを得るようなものかもしれません。時には現状から、逃げてみませんか?
さて、漢方相談を標榜していると、いろいろと難しい相談に遭遇します。現代医学的に難しい病気・症状は、漢方薬でも難しいことが多いのですが、そんな時ほどできるだけシンプルに考えるように心がけています。そして、私の経験だけでなく、漢方医や心療内科医など他の専門家の意見などを統合して、食事や運動やコミュニケーションなどの基本的な生活スタイルが、とても重要だと感じています。
栄養面でいえば、ビタミンやミネラルの不足は今後ますます深刻化することでしょう。すると安易にサプリメント摂取に流れやすいのですが、やはり基本は食事に置きたいものです。食物繊維にしろ微量のミネラルにしろ脂質にしろ、サプリメントだけでバランス良く補給するのは難しいと考えるからです。
ただ、一部のビタミンやミネラルは食事だけで補給するには難しい場合もあり、このような場合にサプリメントなどを利用すると良いかと思います。
今回は、意外に多い「隠れ貧血」に焦点を当ててみたいと思います。特に女性に多くみられますが、男性でもレバーなどの食物が苦手な方、激しい運動や労働をしている方などは、注意が必要です。これらの方で、いわゆる体調不良が慢性的に続いている方は、一度「隠れ貧血」を疑ってみてはどうでしょうか。
栄養療法を行っている、新宿溝口クリニックの溝口先生による以下の報告があります。
《フェリチン低下による不定愁訴(有経女性20〜55歳まで)と鉄分補給による改善率》
1.疲れやすい・肩が凝る 65%
2.頭痛・頭痛になりやすい 76%
3.注意力低下・イララしやすい 80%
4.立ちくらみ・めまい・耳鳴りがする 82%
5.寝起きが悪い 80%
6.洗髪時に毛が抜ける 78%
7.湿疹ができやすい 80%
8.のどの不快感・鼻づまり 80%
9.歯茎の出血や体にアザができやすい 79%
10.風邪にかかりやすい 78%
11.肌が青白く、または黄色っぽくなる 79%
12.体を動かすと動悸や息切れがする 80%
13.まぶたの裏が白い 74%
14.顔色が悪い 75%
15.神経過敏 100%
16.胸が痛む 79%
17.吐気がする 80%
18.爪がスプーン状に変形し割れやすい 100%
19.むくみがある 60%
20.口角口唇炎になる・舌が赤くすべすべする 76%
21.下痢しやすい 66%
22.食欲不振 100%
この報告を見ると、たかが貧血状態といえど、放っておけないと感じることでしょう。単純に「鉄分を補給しよう」と結論付けるつもりはありませんが、とても意識しやすいミネラルの一つ《鉄》でさえこんな状況なのです。色々な体調不良で悩んでいる方は、今一度自分自身の食事を見直してみてはいかがでしょうか?
「あなたは、食事を軽視していませんか?」
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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局 廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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