ニキビの最新治療

先日、福島沖を震源とするマグニチュード7クラスの地震が発生しました。幸い大きな被害は出なかったようですが、日本各地で頻発する地震など自然災害に楽観視することなく常に準備をしておく必要性を感じています。誰しも「のど元過ぎれば熱さ忘れる」となりやすいものですから、油断することの無いようにお互い声を掛け合いましょう。今年も約1ヶ月を残す程度となりました。新しい年を普通に迎えられるよう、体調管理にも気を付けたいものですね。
また、関東方面での雪や気温低下による不慮の事故・ケガなどの無いよう無事を願っています。

さて先週の話題ですけれど、市内で開催されたざ瘡治療講演会のことを報告いたします。講師は東京女子医大皮膚科准教授の常深祐一郎先生で「新しいざ瘡治療の考え方」と題した講演でした。ざ瘡=ニキビですが、この3〜4年の間に新しいニキビ治療薬が登場し従来より効果的にニキビ治療が行えるようになっています。その現場の生の声を聞きたくて参加してきました。そして予想した通り、ガラッと変わったというのが正直な実感です。

ニキビ治療において従来のターゲットはアクネ菌(いわゆるニキビ菌)でしたから、抗生物質・抗菌薬が中心に使われてきました。そして副作用や耐性菌を心配しながら使用されてきたのです。ところが、アダパレンという薬剤が登場してからターゲットは毛漏斗部(毛穴の入口周辺部分)の異常角化に変わり、コメドと言われる早期段階から治療ができるようになったのです。重症化する前に治療を開始するわけですからニキビ痕も残りにくく評判も良いようです。さらに昨年、過酸化ベンゾイルも発売され、アダパレンでは難しいような重症のニキビに対しても治療可能になったのです。

過酸化ベンゾイルにはアクネ菌の耐性化問題も無く、アダパレン同様に毛漏斗部の異常角化を改善する作用もあり、こちらも上々の評判です。わたしら薬局薬剤師もニキビに対する相談を一新する必要性を感じています。その一方で、何事も長所・短所はあるもので良いことばかりではなく、アダパレンも過酸化ベンゾイルも皮膚刺激が相当あるようです。ですから処方箋を受ける薬剤師は、この刺激の説明を丁寧に行わないとニキビ治療は失敗することになるでしょう。失敗と言っても全く治療手段が無くなるわけではないのですが、有力な武器を欠くことにはなるでしょう。薬剤師の腕の見せ所ですね。

ですから常深先生は「慎重過ぎるくらい少量から開始することが一番のポイント」と繰り返し話していました。また、ニキビは異常角化を基本病態とする皮膚病だから、アダパレンが使えるようになった意義はとても大きいとも。
アダパレンも過酸化ベンゾイルも素晴らしい薬剤なことは間違いありませんが、それでも100%の有効率ではありません。メーカーのデータによれば40〜50%の有効率で、半数以上の方には更なる工夫が必要です。加えて、20〜30%の人はプラシーボ(有効成分を含まない偽薬)でも効果が現れています。新たな治療薬でも効果が不十分なケースに、漢方薬心理療法が効果的だったことを私は以前発表しています。プラシーボの効果は心理ストレスの関与やスキンケアの重要性を示唆するものと考察できます。

新たな薬剤が登場するたびに、私らは基本的なことを忘れて行くように思いますがいかがでしょうか。誰もが持っている自然な治癒力、正常状態に戻ろうとする回復力を活かすこと、スキンケアや規則的な日常生活など、強力な武器だからこそ最終手段として大切に使いたいと願います。たかがニキビですけど、されどニキビですからね。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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