がんに対する漢方併用療法

本格的な寒波の襲来で、パニックとまでいかなくても大変な思いをしている方は多いことでしょう。ヒトは出来事を自分に都合の良いように解釈する習性があります。1月上旬でしかないのに「ひょっとしたら今年はほとんど雪は降らないのではないか」などと私同様淡い期待をしていた方も多かったことでしょう。しかし、冬は冬、豪雪地は豪雪地です。一気に淡い期待は吹き飛び、現実に引き戻されてしまいました。
ただ、8日9日と磐梯熱海で行われた漢方合宿に雪の心配をせず行って来れたことはラッキーでした。「今年は良いことがありそう」と思うことにします。

その漢方合宿では、私の症例に対する東洋医学的解釈も発表してきました。独りよがりの解釈では説得力に欠けますから、専門家が集まった場で解釈の妥当性を評価してもらうことが重要です。その点は、クリアできたものと思いますので、この考え方を今後の相談にも応用してゆきたいと思います。
さて、症例発表のほかに行われた特別講演では、がんの湯液治療(煎じ薬による漢方治療)に積極的に取り組んでいる清水雅行先生の講演「がんに対する中西医結合治療」がありました。

《がん》は現代医学的治療でも困難な病気ですが、漢方薬でも困難な病気に変わりありません。私の所でも、多くの方が奇跡を求めて(願って、あるいは期待して)相談に訪れます。ですが末期の方が多く、延命には貢献してると思われても、その効果は限定的な印象です。かと言って、1ヶ月何十万もの商品を無責任に販売する気にはなりませんから、精一杯の努力はするものの、期待通りに行かないことも多かったのだと思います。
しかし、清水先生の講演を聞いて、今までの考え方がガラッと変わりました。高額な商品を販売しなくても、煎じ薬で相当の効果を上げることが可能だとわかったからです。

漢方併用療法は、決して現代医学的治療を否定するものではありません。清水先生のこの考え方に私は賛成です。分子レベル・遺伝子レベルでの新しい抗がん剤が開発されて一定の評価がある以上、また手術や放射線治療も進歩している以上、この進歩を利用しないことの方が不利益となるでしょう。ただ、副作用や体調不良やガン末期などで治療が十分に行えない場合などは漢方治療だけでもやむを得ないと考えます。でも、末期の余命数ヶ月の方が、清水先生の漢方治療で何年も延命しているとの結果を聞いた時は鳥肌が立つような興奮を覚えました。そうです、諦める必要なんて、全く無いのです。

清水先生は、多数の生薬を使用します。手術する方には、術前・術中・術後の経過を良好にする漢方薬・生薬を使いますし、抗がん剤を使う方には、体調や副作用を考慮して漢方薬・生薬を組み合わせているのです。がんの種類により抗ガン生薬(抗がん作用のある生薬)を使い分けるのは当然ですが、私が使用するよりもはるかに多くの生薬を使用しているので、当薬局も清水先生の講演や専門書をもとにして大幅に増やすつもりでいます。
例えば、肺がんには白花蛇舌草・白毛藤・天葵子などを、また乳がんには白花蛇舌草・淫羊蕾・天葵子・蚤休などの抗ガン生薬を使用しているのです。

そして、当たり前のことなのですが、がんに対して抗ガン生薬だけの組み合わせでは充分な効果は期待できないことにも触れられました。これは私も経験から掴んでいた事実ですが、多数のがん患者さんを漢方治療されている清水先生から直接聞けたことは大きな自信となりました。時々、アガリクスだけを求めて来られる方がいらっしゃいますが、できれば体調を調える意味で体質に合った漢方薬を一緒に飲んでほしいと思っています。その方が、アガリクスの効果を何倍にも引き出すことになるのですから。

体調を調えるという点では、漢方薬を飲んで調子が良くなったのに主治医の指示で漢方薬を止めたら悪化したケースも紹介されています。漢方治療を信用しない医療者から見れば偶然の結果と考えることでしょうが、私ら漢方家の立場から見ると漢方薬で調っていたバランスが崩れた結果と見ます。どちらにしても残念な結果です。

とにかく今回の漢方合宿の大きな収穫は、《がん》という病気に対しても漢方治療の基本に従って漢方薬を選択し、そこに適切な抗ガン生薬を組み合わせたり、副作用対策としての効果的な生薬を組み合わせたりすれば、相当の確率で結果を出せるということです。そして、私が今までの経験から導いた結論が間違ったものではないことも大きな自信となりました。改善すべきは使用する生薬の量ですから、今後は見直して行きたいと思いますし、情報を整理して今後の相談に活用したいと考えます。

さらに、がん治療をより効果的にするには、精神腫瘍免疫学の観点からのアプローチも私は重要と考えています。当薬局は、漢方相談も心理的アプローチも両方行いますので、相乗効果も期待できると考えています。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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