インポテンツ・EDの相談

 長岡市街地では積もった雪はかなり薄くなり、日の長さとともに春の訪れを感じています。そういえば、どこかの庭では梅の花が5分くらい開いていました。我が家の梅も1輪白い花を咲かせてましたし、これからはあちこちで多くの花と出会えることでしょう。地域により違いはあるものの、厳しい冬を無事乗り越えましたね。気分も明るく過ごせそうです(花粉症の方、ごめんなさい)。

 EDとは勃起障害の略語ですが、心身医学分野(特に内科系)では摂食障害を指します。ややこしいですが、今回は前者がテーマです。例えば女性が乳がんで乳房を切除したり閉経を迎えたりした時、一種の喪失感を感じることが多いように、男性の場合はインポテンツなど勃起や射精が上手く行かない時に、やはりある種の喪失感を覚えます。それが20代・30代の若い男性なら猶の事大きな喪失感に襲われても不思議ではありません。

 「生殖」という、遺伝子にプログラミングされた行為に問題があることは、動物にとって存在意義に関係することかもしれません。ですから、うつ状態にもなりますし、うつ病を発症する方もいます。また逆に、うつ病になると異性に対する興味や関心を減少し、結果的にEDになることも珍しくありません。この問題は、単に個人的問題で済むわけはなく、夫婦やカップルにとっては関係存続の危機に結び付きます。

 ですからインポテンツ・EDは、身体的問題だけでなく心理的なフォローも必要とする非常にデリケートな相談と言えます(大部分の方が、親・兄弟・親友の誰にも相談できてないことでしょう)。そして、夫婦やカップルの関係も強く影響することから、家族療法的(システム論的)視点が欠かせない分野だと考えています。

 当薬局でも、時々インポテンツ・EDの相談を受けます。バイア〇ラなどの血管拡張薬や男性ホルモン剤で効果が上がる中高年なら、副作用を除いて特別な配慮は必要ないのかもしれません。ただ、血管拡張薬と男性ホルモン剤では作用が違いますから、その違いを理解したうえで適切に使用する必要がありますが、私の印象では薬局薬店側で理解している割合は少ないように感じています。まずは、薬剤の適正使用がきちんとできることからインポテンツ・EDの相談はスタートすると言えます。

 しかし、妊活中の夫婦や結婚を控えているカップルにとって、薬剤で問題を解決しようとしても根本から解決に至ることはないと思っています。まずは、安心して相談できる関係作りが必要で、親や兄弟にも相談できない性の問題を扱う以上、相談の成否はすべてここにあると言っても過言ではありません。そして、焦らずに一つ一つ確実に課題をクリアして初めてゴールにたどり着くのです。それには、パートナーの協力がどうしても必要となるでしょう。セッ〇スセラピーの理論と治る過程を丁寧に説明し理解してもらったうえで、協力を得る必要があるのですから。

 でも、この体験をした夫婦やカップルの絆はますます深まることでしょう。一つの問題を解決するために二人で協力して課題をクリアするわけですからね。絆が深まるだけでなく、男性の自己肯定感・自己効力感も増加し、生活の快適度も改善して、その影響は周囲にも広がることでしょう。私の掲げる「幸せづくり」は、相談した個人から始まり家族や職場など周囲に拡大することを狙っています。家族療法に出会い、カップルセラピーやセッ〇スセラピーを行いながら、インポテンツ・EDの相談に対応したいと考えています。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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