スポーツ飲料と脚気

 卒業シーズンの3月に入り、当薬局からも相談を無事終了し卒業する方が何人もいます。今年は例年よりも「相談終了⇒卒業」のペースが速いように感じていたら、今年は酉年でしたね。鳥は、成長したら巣立つものですから、3月=卒業=巣立ち=酉年と連想してしまいました。つまらない連想でしたね、失礼!
 ただ、当薬局で相談された受験生は、今のところ合格率100%です。相談内容はいろいろで、体調に関する相談や不安や緊張などのストレス相談など、受験生だから特別というわけではなく普通と変わりません。違うことと言えば、「試験日に最高のパフォーマンスが出せるように!」という期待が、私に大きなプレッシャーとしてかかってくることでしょうか。今年も今のところ100%を維持しています。

 ところで、「脚気(かっけ)」という病気を知っていますか?ビタミンB1の不足が原因で下半身に浮腫みや痛み・脱力などの神経障害があらわれる病気です。ビタミン不足と考えると、昔の病気という印象を抱く方が多いと思います。しかし、この病気が現代型の生活により再び増加しているようですから、注意が必要です。ビタミン不足ですから、感染症のように伝染する可能性はありません。でも、生活スタイルは意外と伝染(?)しますよね。ここが、増加している理由なのでしょう。

 現代型の脚気が起こる理由は、ビタミンB1の摂取不足というよりもビタミンB1の消費量が増えたことで発症します。ビタミンB1の消費量(必要量)が増えたために、結果的にビタミンB1不足になり脚気を発症するわけです。ここに現代特有の生活環境や生活スタイルが関係してきます。そして驚くべきことに(私がビックリしただけかもしれませんが)、現代の脚気は乳幼児にも発症した報告が少なからずあるということです。

 ビタミンB1は糖質の代謝に関係するビタミンですから、糖質の摂取量が増えれば必要量も増加します。そこで、エネルギー変換効率の良い手軽なスポーツ飲料と脚気が関係してきます。暑い時期の熱中症対策や嘔吐・下痢などの症状による脱水対策に、水分補給が重要なことは、マスコミなどを通じて広く知れ渡っています。そして、水分だけでなくナトリウムやカリウムなどのミネラル補給も同じように重要だと多くの方が知っていると思います。そして水分とミネラルに加えて適量の糖分があると、吸収はよりスムーズに行われます。その点、イオン飲料やスポーツ飲料は水分・ミネラル・糖分を配合した優れた脱水予防製品なのです。

 でも、水分・ミネラルの吸収に必要な糖分は、それほど多くいりませんから、水分・ミネラルの吸収だけを考えて脱水予防製品を作ると結構まずい味になります。しかし、それでは誰も購入しないので美味しくするために糖分を必要以上に多く入れることになります。すると、増えた糖分を処理するためにビタミンB1の消費が増えるのです。以前、熱中症予防目的でスポーツ飲料を飲み過ぎインスリンによる処理が追いつかず糖尿病になるという記事を書いたことがあります。同様にビタミンB1も消費され脚気になるケースがあるのです。

 現代型の脚気はスポーツ飲料だけでなく、ジャンクフード中心の偏食やアルコールの多飲なども関係してきます。スポーツ飲料が悪いというよりは、水代わりに飲んだり乱れた食事により糖分とビタミンB1のバランスを欠いた結果と考えられます。ビタミンB1は普通に食事をしていれば恐らく不足することの無いビタミンですから、これを機会に今一度自分の食事内容を見直してみてはいかがでしょうか。



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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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