膝の痛みには何が有効なのだろう

 先日参加した勉強会での説明によると、某メーカーのAという薬剤の有効率は約45%で、薬効成分を含まないプラセーボ(偽薬)は約30%で、これを統計的に解析した結果”ある病気に対して薬剤Aは効果がある”とされています。この時、ある人は45%に注目するでしょうし、また別の人は15%(45%−30%)に注目するかもしれません。ですが、最近の私はプラセーボの30%に注目します。これは薬の作用以外の何かが働いた結果、有効成分を含まないプラセーボでも30%の人に効果があったとも解釈できるわけですから、それを研究すればいわゆる薬漬けからの脱却を図るヒントになるだろうと思うわけです。

 当薬局に来られるアトピー性皮膚炎の方は、ほとんどと言っていいくらい軟膏・クリームの使い方を説明されていません。ひょっとしたら説明されているかも知れませんが、私が確認すると知らないのです。私が作成したモデル図などで要点を説明するとようやく理解していただけます。正しい使い方をしてなかったからアトピー性皮膚炎が改善してないケースがかなり目立つのです(指導料などを頂いている調剤薬局に「ちゃんとしろ!」と言いたい気持ちです)。そして、ステロイド軟膏が出ている場合は心配や不安に寄り添いながら、正しい情報を説明して初めて薬を使う気になるのです。

 さて、私事ですが1ヶ月ほど膝を痛めていて、貼り薬と漢方薬で何とかしのいでいる状況です。原因は「老化」なのですが、衰えた筋肉が増えた体重に対して悲鳴を上げている状態と理解しています。20代の体重に比べ4〜5kg増加しているものの、まだ50代ですから筋力はさほど低下しているとは考えずに無理をかけてきましたから。昨年たまたま測った握力は20代に比べ60%程度にまで低下してたので、サインは出ていたわけですね。

 そこで私の膝痛対策は、急性期の痛みには漢方薬と貼り薬で”痛み”をコントロールし、同時にリハビリとしての筋力トレーニングとストレッチを組み合わせ、慢性痛への移行を防ぐことにしました。いろいろ調べた結果、変形性膝関節症の発症には筋力低下による膝関節の不安定性が大きく関係しています。ですから、膝関節を安定させることが、重症化を防ぐ最も重要な対策なのです。体重=筋力ではありませんから、見かけの体重に誤魔化されないよう注意しなくてはなりません。実際に握力の低下は想像以上だったわけですから、他の筋力も推測できます。

 テレビなどでは必ずと言っていいほど、グルコサミンやコンドロイチンのコマーシャルが流れています。医学的なデータでは、有効なデータも無効なデータもあり結論が出ていませんが、軟骨がすり減る原因も膝関節の不安定性ですから、この不安定性を解消しないで軟骨成分だけ補給しても効果的かどうか疑問です。もしかしたら有効なデータには筋力トレーニングやストレッチなどのリハビリが行われていたのかもしれませんが、原文を当たってないので推測の域を抜け出ません。

 このリハビリも図解で示せると、膝の痛みで悩んでいる方も理解しやすいだろうと思います。いくつかの病気・症状に対しては説明用リーフレットを作ってあるものの、膝の痛みバージョンも早めに出来上がらせたいと思います。
 整形外科疾患は、患者満足度が低いことで有名です。この理由として、充分な説明が少なく薬だけ出されているイメージが定着しているからでしょう。患者サイドも、薬だけに頼るのではなく、正しい情報で薬の効果を最大に引き出す工夫が必要なのではないでしょうか。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
http://hirohashi-pharma.sakura.ne.jp/ (アドレスを変更しました)

過去のブログの主なものはホームページにリンクを貼ってありますから、見たい記事がありましたら《ひろはし薬局のホームページ→過去のブロ
グ》から探してみてください。(現在の更新はしてませんが・・・)
  あるいは⇒http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/sub6.htm

メールは《Re:タイトル》でお願いします。メールマガジンの申込も随時受付中
     ⇒8hirohashi@gmail.com

薬事法の関係で、具体的な薬品名は表示を控えています。お知りになりたい場合は、直接ご連絡ください。

講演の依頼に関しては、ホームページに掲載してある講演内容を参考にして、お申込下さい

訪問による出張相談にも応じています。
引きこもり・うつ病などのメンタル相談、外見の気になる皮膚病相談、病中・病後など体力低下による外出困難な場合、など