イライラに効く漢方薬

 今週18日(木)の大学最終講義の前に、近くの美術館で開催されている「藤城清治ー光のメルヘン展」に寄ってきました。藤城清治展のことをお客さんから教えてもらい、ちょっと興味を持ったことと幸い近くで開催されていることから、目の保養やリフレッシュも兼ねて覗いてきました。まったく下調べもせず「影絵」という言葉から想像していたイメージとは大きく異なり、良い意味での期待を裏切られた感動(こんな言葉で表現できるようなものではないものの・・・)に浸りながら、2時間弱の時間を過ごしてきました。ジャンルは問いませんが、たまには芸術に触れてみるのもいいものです。

 最近の傾向なのかわかりませんが、当薬局では「イライラしやすい」というような悩みで相談される方が目立っている印象です。「イライラして、すぐ怒る(キレる)」という心の問題が、身体に原因があると考えて相談されるのでしょう。まずは、いろいろと詳しく話を聞いて、漢方薬を使うことがいいのか、カウンセリングや心理療法が効果的なのか、場合によっては併用など私の考え方(見立て)を伝え料金や必要な期間の目安などを説明します。納得されたら、実際の相談に移ります。

 今回は「イライラ」に対する東洋医学的な考え方を述べたいと思います。古代中国哲学五行思想では、怒り(イライラ)は「木(もく)」に属し、五臓では「肝(かん)」と関係が深い感情とされます。また、「肝」は感情などの精神活動をコントロールしているとも考えられていて、「肝」の健康状態や「肝」と他の四臓(「心」「脾」「肺」「腎」)とのバランスに注目します。バランスは相対的な強弱と考えれば、結果的には「肝の機能亢進」と「肝の機能低下」の二つに大きく分類できますし、理解もしやすいと思います。

 まず「肝の機能」について。「肝」の働きは、全身の活動(内臓機能・身体活動・精神活動)を活発にすることです。そしてエネルギーを「血(けつ)」から供給してもらうと共に働くことで生じた熱を「血」で冷やしてオーバーヒートしないよう調整されています。
 この働きが亢進すると全身の活動が活発になり過ぎ、内臓機能では特に消化と関係するので「食べても食べても満腹感が得られない」異常な食欲として、身体活動ではあくせく動き回るパワフルな印象が、精神活動では「イライラ」「怒り」「キレる」などが表面化してきます。

 反対にエネルギーが減少して働きが低下すると、内臓機能も衰えて身体活動も鎮静化する結果として「疲れやすい」「おっくう」「もたれやすい」などの症状が現れます。しかし生きている以上、最低限の働きをしてますから少ないながらも熱が「肝」に生じます。「血」が少ない時は「肝の熱」を冷やしきれないために、「仮の機能亢進状態」になってしまい「イライラ」「怒り」「キレる」などの精神症状だけが表面化します。

 現代のようなストレス社会では、不満・怒りの発散不良やオーバーワーク、睡眠不足、野菜不足・飲酒などの食習慣、体調(生理や便秘など)、等が「肝の機能」を乱し「イライラ」しやすい体質を作っていると考えます。ですから「イライラ」が「肝の機能亢進」によるのか「肝の機能低下」によるのかを確認し、その方の背景を考慮して漢方薬を選択すると本人にとって悩ましい病的な「イライラ」は」自然に解消することになるのです。
 加えて、普段の生活の中から「肝の機能」を乱す習慣を指摘し、是正するようにアドバイスすることも重要で、漢方薬を減らし中止した後も再発させないためには忘れられません。東洋医学では、心と身体の切っても切り離せない関係を「心身一如」と言いますが、私の専門である心身医療に通ずる視点です。
 「イライラ」に対する具体的な漢方薬名は体質や背景がわからないと紹介できませんが、東洋医学の基本をしっかり身につけている専門家にご相談下さい。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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