乳がんと月経周期

 フリーアナウンサー小林麻央さんの訃報が入りました。彼女のブログに多くの方が助けられたことと思いますし、彼女の残した名言は今後も多くの方に生きる勇気を与えることでしょう。若くして他界された小林麻央さんのご冥福を願うとともに海老蔵さん一家を温かく見守りたいものです。

 さて、漢方相談を標榜していると、好むと好まざるに関わらず「がん」の相談を受けることになります。私の所も例外ではなく、今も何人かのがんサバイバーの方々と関係があります。薬局薬剤師ができることに限りがあるとはいえ、がん関連の書籍を取り揃えたり、がんの関連学会や講演会に出席したりと、いろいろと情報を収集しながら常にベストな相談ができるよう準備しています(つもりです)。

 そんな折「生きがい療法」の提唱者・伊丹仁朗氏の著書「絶対あきらめないガン治療・30の可能性(三五館)」を購入し読んでみました。その中には、いろいろと興味深いことが多く書いてあります。食事療法や免疫療法についてもデータを示し客観的に述べている点で、この手の本としては間違いなく良書に入るものと私は評価しています。少し古い内容であり一部?と思うものもありますが、偏った内容の書籍が多い中で、安心しておすすめできる本だと思います。

 その30の可能性の一つに「女性のガン手術には、再発が大幅に少ない大安日がある!」がありますので紹介します。結論を先に言うと、閉経前の女性が乳がんの手術をするのなら黄体期にする方が卵胞期にするよりも生存率が2倍になる、というものです。1999年にキャンサーという専門誌にフェンティンマン博士らが報告した内容では、乳がんの手術を受けた112人について卵胞期に手術した人は10年生存率45%、黄体期に手術をした人は10年生存率75%というものです。

 考えられる理由は二つ挙げられ、一つは卵胞期に分泌されるエストロゲンに対し敏感な乳がん細胞が活発化するため、もう一つは卵胞期には免疫細胞の一種NK細胞の活性が低下するため再発率が高くなるためと考えられています。事実、エストロゲンは脂肪細胞からも分泌されるため、肥満の女性ほど乳がんに罹りやすいことも知られています。また、黄体期は高温期とも言われるように高めに体温が推移することで、免疫系が活性化すると考えることもできます。漢方相談にこれらのデータを活かすなら、女性に多い悩みの「冷え」を改善する漢方薬は考慮しても良いでしょう。

 がんは種々雑多な個性を持ったガン細胞の塊ですから、できるだけ多くのアプローチを取り入れたいと考えています。漢方薬やツボ・経絡の考え方、睡眠など生活リズムと時間生理学の考え方、栄養・食事と悪液質の関係、心理的アプローチの可能性、家族や友人など周囲の人の支援など、がんビジネスと揶揄されないよう良心的な対応を心がけたいと考えています。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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