水いぼについて

 梅雨前線のある所では近年、集中的に豪雨になる傾向が強いようです。今、中国地方や九州地方で被災された方、豪雨に対処されている防災関係者、住民の方々、皆さまにお見舞いを申し上げます。当地長岡も一時の豪雨で一部地域で避難勧告が出て、私も友人知人から心配頂きました。この「気にかけてもらっている」感覚は大きな安心につながります。自然災害に対し、私たちはあまりにも無力ですけれど、何ができる(do)というよりも気にかけてくれる誰かがいる(be)という安心感に勇気も出やすいようです。そんな思い(存在感)を多くの方に伝えたいものですね。今日は七夕、夜空を見ながら遠くの誰かを思いつつ、ボーっとするのもいいのでは?

 地元の小学校では、プールでの水泳教育が始まりました。暑い夏は保育園や幼稚園でもプールでの水遊びが行われます。そうすると、気になるのが水いぼですね。治療法は専用の器具でつまんで取るというものですが、この方法には反対意見も多く専門家の中でも結論は出ていません。「では、どうしたらいいの?」という疑問が一般の方には出てきて当然です。さて、どう考えるか?

 水いぼは水いぼウィルスに皮膚が感染して発症します。数個の発症で済む子もいれば、数百個の水いぼができる子もいます。この差を考えることで一つの方向性が見えてくるように思います。水いぼが発症してからの経過は、他のウィルス感染症と同様に獲得免疫系の活性化によって自然治癒します。その後は、免疫系の記憶により発症する前にウィルスが排除されるため水いぼが出ることは基本的にありません。ですから、「痛い思いをして取らなくてもよい」という意見には、痛い思いをして初期に取ってしまうと獲得免疫系が活性化する前にウィルスを排除する訳ですから、何回も感染を繰り返す可能性もあるのです。

 かと言って、何百個も水いぼがある状態を放っておくのも保護者としては気の毒で何とかしたいと思うのも事実です。そして、この段階で水いぼを取ろうとすれば、痛みも相当でしょうし時間もかかります。体質によっては瘢痕(ケロイド)化するケースもあります。そうすると、できても十数個程度で拡がらない内に免疫系を活性化させて自然治癒につながるのが理想と考えられます。ただ、現実は理想通りに行かない事の方が多い世界です。でも、何もできないのでしょうか?

 そこで、もう一度、数個の発症で済む子と数百個できる子との違いを考えてみましょう。皮膚の働きの一つは体内と体外の境界です。ウィルスや細菌が体内に進入できないよう防御しています。その仕組みとして何層かの角層が重なり、角層を強固なものにするためのセラミドやバリア層で覆われています。この角層の防御を突破して進入すると感染成立、水いぼの発症となります。基本的に、数個で済む子も数百個できる子も、最初は1個の水いぼだったのです。どのくらい数が増えるかは、その子の皮膚のバリアの状態によりますから、拡げないためにはバリア層を含めた角層の防御をしっかりさせることが重要なのです。

 水いぼはアトピー性皮膚炎の小児に出来やすいことが知られています。アトピー性皮膚炎もバリア層が脆弱でアレルゲンが容易に侵入しますから、スキンケア・保湿でバリア層を人工的に補強することが発症の予防になります。水いぼも同様で、拡大を防ぐならバリア層を補強するためのスキンケア・保湿がとても大切なのです。これがしっかりできれば、痛い思いをして、ケロイドになるかもしれない危険を冒して、水いぼを専用器具で取る必要は無いように思うのです。

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