各地の夏祭りを祝うかのように北陸・東北地方の梅雨は明けました。当地も全国的に有名な花火大会が無事終わり、いつもの生活が戻っています。私は1週間でしたが、入院生活という非日常生活を送ったことが良い経験となっています。月並みでも、何気ない日常がかけがえのないものであり、金銭では置き換えられない価値をもったものだと改めて体験したわけです。金銭で置き換えられないとは数値化できないということですから、他人と比べても比較できないし優劣もつきません。「大切なものは目には見えない」というセリフが星の王子様にあります。私はさらに「大切なものは、数字で表せるものではない」と加えたいと思います。成績や収入という数字とは異なる”貴方の大切なもの”、それは何でしょうか?
さて、今回はスポーツと月経の関係について。一見あまり関係がなさそうですけど、ある状況では注意が必要になります。
一般的に知られていることでは、体重制限を伴ったり体重増加を嫌うような競技での無月経があります。私たちの身体は、極端な比較をする場合に生存と生殖では、生存の方を優先するということです。生死をかけたスポーツは行われませんが、体重がある限度を超えて下回るようになると、私たちの身体は生存の危険を感じ生殖につながる月経を止めてしまうのです。
この怖い点は、場合によってはスポーツを止めてからも月経が復活しないことがあるということです。多くの女性アスリートにとって10代の頃は一番ハードに練習に打ち込む時期だと考えられます。そしてその時期は、身体にとってもホルモンバランスを調える大事な時期になります。ホルモンバランスを調整する必要のない生活が続けば、競技としてのスポーツを止めても身体がホルモンバランスを調整出来なくなっているかもしれないのです。月経は健康な身体からのサインですから、無月経だけでなくリズムが乱れたり傷みが強く日常生活に影響が出るようなら、身体からのサインとして適切な対応をとるべきと考えます。
もう一つは、脳震盪を起こすような競技に対する注意です。先月発表されたピッツバーグ大学医療センターのスヌーク氏らの報告によると、脳震盪の後4か月間は月経周期が異常になりやすいと述べています。4か月以上の調査は行っていないようなので、この月経異常が一時的なものか長期的なものかは結論が出ていません。私の想像では、ほとんどのケースでは一時的なもので長期的な影響は無いだろうと思っています。
ただ、男性でも脳震盪後は、下垂体機能低下症に関連して神経内分泌疾患を発症するリスクが上昇すると言われています。女性のホルモンバランスは、視床下部ー下垂体
ー卵巣系により調整されており、脳震盪により男性同様に下垂体機能低下が起こりやすいと考えられます。
脳とは直接関係のない腕や足の骨折などの場合(整形外科的外傷)も、運動制限などのストレスにより月経異常が起こることから、脳震盪群との比較のために同時に調査されました。その結果、4か月間で月経異常が起こるリスクは、整形外科的外傷群が5%に対し脳震盪群が23.5%と4倍以上となりました。
私たちの身体は、いろいろな状況からリカバリーする能力を持っている一方で、外見上は大丈夫でも身体の中では大きな影響を受けている場合もあることを意識することが必要なのだろうと思います。
1週間の入院期間中1日に2〜3回、体温・血圧・酸素飽和度などのバイタルチェックが行われましたが、意外に変動していることにビックリしました。入院翌日に胆石は摘出してますから、痛みや倦怠感は全く感じていないにもかかわらずバイタルが大きく変動することは驚きだったのです。このことは、私たちが大丈夫と思う以上に体内では多くのサインが発せられていると言えるのではないでしょうか。
私を含めて多くの方は、体調に異変を感じなければ体温は計らないでしょう。高血圧や生活習慣病でもなければ血圧を測ることは少ないでしょう。でも、これらは手軽に体内の変化をキャッチすることができる優れた指標です。毎日体温を計る習慣があれば、この時期の熱中症へのサインを見つけることができるかもしれません。神経質になる必要はありませんが、身体からのサインを見逃すことのないよう自分の身体に関心を持ってもいいかもしれませんね。
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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局 廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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