めまいリハビリと漢方薬

 今年のように気温の変化が激しい秋も珍しいですね。それでなくても秋は季節の変わり目であり、体調が崩れやすい季節です。しかも大型の台風が重なれば気圧の急激な変化も加わり、自律神経系のバランスが不安定にならない方が不思議ではないでしょうか。自律神経はいろんな臓器の活動に関係しているため、季節の変わり目の不調は、人により様々で、頭痛・耳鳴り・めまい・食欲不振・喘息様の咳・下痢・腹痛・貧血様症状・動悸・・・・などなど、その人の弱い所を狙って出てきます。一般的には、不定愁訴などと表現されたりするものですね。

 そこで、今回は「めまい」を取り上げてみたいと思います。先日、新潟まで出かけて聞いてきたのが横浜市立みなと赤十字病院めまい・平衡神経科部長、新井基洋先生の講演「めまいリハビリテーション漢方薬の選択」です。めまいの漢方相談は薬局でも頻度の高い相談の一つで、漢方薬の比較的よく効く症状だと私は認識しています。末梢性のめまいであれば、9割以上は水分代謝に問題のある”水毒(あるいは水滞、痰飲などともいう)”ですから、水分代謝を改善する漢方薬東洋医学的に体質を評価して適切に選択すれば非常によく効いてくれます。

 今回、私が最も聞きたかったのは「めまいリハビリテーション」の部分。最近の私は、「漢方薬を如何に短期間で聞かせるか」「効いた漢方薬を、どうやって減らして行くか」「漢方薬を止めても再発しないようにするには日常生活の何を工夫すれば良いか」などを常に念頭に置いて相談に取り組んでいます。ですから、食養生や栄養療法、ストレッチや運動やリハビリテーション、ストレス発散方法やコミュニケーションスキル、生活リズム、等々を積極的に取り入れるよう心掛けています。一度テレビでも見たことがあり、直接聞けるチャンスでした。

 どんな相談にも言えることですが、まず薬局でも重大な病気を見逃さないようにしなくてはなりません。めまいにおいても同様で、特に脳や心臓に原因がある場合には一刻も早く大病院に送る必要があります。この辺りは大雑把に知識を持っているものの、直接臨床医からポイントを聞けるのは有難いものです。また新しい知見として、「加齢性めまい」が今後は増加してくるということも、私にとっては新鮮でした。

 さて、めまいリハビリテーションの基本は、当たり前ですけど平衡に関係する臓器・器官の解剖、生理、病理に尽きるのですね。テレビでは一般視聴者を対象にすることもあって専門的なことは省かれますから、私が初めて見たときも「どうしてこれで治るんだ?」という疑問しか残りませんでした。ですが今回、新井先生の説明を聞いてとてもよく納得できました。またいくつかのリハビリテーションを実際に実習することで、より理解が深まったと思います。ただ、時間の関係で実際のリハビリテーションの一部しか紹介されませんでしたので、残りは新井先生の著書やDVDで勉強してみたいと思います。

 ちなみに、新井先生のリハビリテーションは入院で行われます。基本的には紹介患者ということで、めまいに悩む方が全国から新井先生の治療を求めて来るのです。めまいの薬に関しては、40年以上も新薬がなく新井先生でなければできないという匙加減など存在する余地はありません。漢方薬も特殊なものではなく普通のエキス剤ですから、やはりリハビリテーションの効果なのでしょう、でも、たかがリハビリテーションとは言え、安全で効果的なものは積極的に取り入れることが大切なのではないかと思います。

 私が今抱いている印象は「めまい相談は、漢方薬リハビリテーションを組み合わせれば鬼に金棒」です、ちょっとオーバーかもしれませんが。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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