繰り返す流産(不育症)と子宮の冷え

 今シーズン最強の寒波に日本列島は襲われています。地元のローカル列車が大雪で立ち往生したと全国ニュースで流れるほど、雪に慣れた当地でもトラブルが多発している状況です。来週は寒波も落ち着くとの予報ですけど、やはり真冬ですから油断することなく準備と対策を整えたいものです。それにしても、センター試験を狙っているかのような毎年の悪天候。受験生と関係がなくても「何とかできないものか」と考えさせられますね。でも、この寒い冬があるからこそ、春の暖かさが一層際立つ側面もあります。
あなたは、どんなプラス面に気づいているでしょうか?

 毎年、寒い時期になると「冷え」というキーワードが相談の中に頻繁に登場します。当薬局では《冷えを改善する》漢方薬を求めてくる女性が多いものの、中には《冷え》ではなく、肩こり・むくみ・生理痛・不妊症などで相談される人にも本人がさほど意識してない《冷え》が目立ちます。また、身体のどこを冷やすにかによって、症状は変化します。

 例えば肺や呼吸器が冷えれば、くしゃみや水様性の鼻汁や咳・喘息になりますし、胃腸が冷えれば腹痛や水様性下痢(人によっては便秘)などが現れます。また膀胱の冷えと膀胱炎の関係も深いですから、何回か繰り返しているベテランはこの時期注意していることでしょう。そして、不妊症で悩む方の大半は冷えを持っていますし、妊娠初期の流産(不育症)も冷えと深い関係があると考えられます。

 漢方の古典の一つ「金匱要略」に、「妊娠シテ胎ヲ養ナウニハ白朮散ガ主ル」との記述があります。構成生薬の一つに山椒があり、これが子宮を温めると考えられ、習慣性流産や難治性の不妊症に使うとの文献があります。広く流通しているエキス剤には無い処方ですから、興味のある方は生薬を扱っている医師や薬剤師に相談されると良いかと思います。

 この白朮散を考えてみると、人の下腹部は冷えやすいのかもしれません。二本足で立つようになって文明が発達したものの、重力の関係で心臓だけでは充分な血液循環が確保できず静脈には逆流を防ぐ静脈弁ができました。この静脈弁を効率よく活かすには足を動かすことが必要ですが、文明の進歩は足を動かさない生活環境を提供してきました。その結果、下半身には血液やリンパ液などが重力に引かれて溜まりやすくなっています。

 寒い時期になると、溜まった血液やリンパ液は床や地面から直接冷やされ、心臓に戻るまでに下腹部を中心に内臓を冷やして行くとも考えます。女性では、子宮や卵巣などの生殖器が冷やされますから、その結果として生殖機能低下につながると思うのです。したがって下腹部を温めるような漢方薬が効果的で、白朮散だけでなく色々な漢方薬が使われて効果を上げています。私の経験ですが、飲食だけでなく生活環境やファッションなど下腹部を冷やしやすい生活が定着していると感じています。地球の温暖化は問題ですが、子宮の温暖化は真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか?

 不妊症・不育症だけでなく生理不順・生理痛などでもお悩みの方、《冷え》があるなら漢方薬+生活スタイルの改善に取り組んでみてください。ご相談お待ちしております。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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