脱毛症と抜毛症(トリコチロマニア)

 今年は全国各地で冬将軍に翻弄させられています。雪に慣れているはずの当地でも、全国ニュースになった信越線の立ち往生だけでなく道路の渋滞、水道管の破裂などあちこちで混乱している有様です。しかし、あと数週間も辛抱すれば温かな春の気配が近づいてくるはずです。その日を待ちながら明日以降の寒波を迎えたいと思います。

 横浜で先週行われた皮膚科心身医学会は、私にとっては新しい情報を得るというよりも、皮膚科心身医学的疾患を更に深く理解する会となりました。小児の疾患をテーマにしていた関係で、常に話題となるアトピー性皮膚炎だけでなく、毛髪が自然に抜ける脱毛症と自分で抜いてしまう抜毛症(トリコチロマニア)に関する話題が目立ちました。アトピー性皮膚炎が厄介な皮膚病であることは間違いありませんが、小児の場合は比較的に普通の皮膚科的治療で効果が上がります。一方、心理的ストレスの関与が強いとされる脱毛症、心理的ストレスが更に複雑な抜毛症では、通常の皮膚科的治療に加えて心理療法との組み合わせが必要となります。

 年齢にもよるが小児は自身の感情や考えを上手く表現できないため、身体や行動や態度で表現することになります。「脱毛症や抜毛症の背景に何があるのか?」「どんなことを表現しようとしているのか?」を常に頭に入れて相談にあたることが大切だと再認識しました。表現を促すという点では、箱庭療法や遊戯療法(プレイセラピー)などがあります。大人なら支持的な傾聴で済むかもしれなくても小児ならではの工夫が必要になるわけですね。

 子供は身近な大人を非常によく観察しており、家族関係や夫婦関係などの問題がストレス源であれば家族療法・夫婦療法・システムズアプローチなどが効果的で、さらにブリーフサイコセラピーの要素を取り入れたアプローチも大切になります。この点では、私を家族療法やブリーフサイコセラピーの世界に案内してくれた皮膚科心身医学会理事の清水先生との出会いが、私の心理療法を大きく進歩させてくれました。また一般的な認知行動療法でも、小児の場合は行動療法に重点を置いたアプローチが中心になります。

 どんな方法を用いるにせよ「背景に何があり、どんなことを表現しているのか」を考えることが重要で、脱毛症なら漢方薬だけでも上手くいくかもしれませんが、抜毛症(トリコチロマニア)は心理療法が無ければ相談は成功しないでしょう。もちろん漢方薬にもストレス反応を軽減する作用はありますが、根本的な背景にアプローチするには心理療法を抜いては相談にならないと感じます。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
http://hirohashi-pharma.sakura.ne.jp/ (アドレスを変更しました)

過去のブログの主なものはホームページにリンクを貼ってありますから、見たい記事がありましたら《ひろはし薬局のホームページ→過去のブロ
グ》から探してみてください。(現在の更新はしてませんが・・・)
  あるいは⇒http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/sub6.htm

メールは《Re:タイトル》でお願いします。メールマガジンの申込も随時受付中
     ⇒8hirohashi\gmail.com (\は@に変えてください)

薬事法の関係で、具体的な薬品名は表示を控えています。お知りになりたい場合は、直接ご連絡ください。

講演の依頼に関しては、ホームページに掲載してある講演内容を参考にして、お申込下さい

訪問による出張相談にも応じています。
引きこもり・うつ病などのメンタル相談、外見の気になる皮膚病相談、病中・病後など体力低下による外出困難な場合、など