産後うつへの対応

 偶然が重なり、当薬局では相談者の妊娠ラッシュとなりました。妊活をされていた方もいますし(おめでとうございます)、別の目的で漢方薬を飲んでいた方もいます。でも、重なる時は重なるものですねぇ。ちょうど、このタイミングで、朝日新聞の「産後うつ」の記事に目が留まり、東洋医学的な考え方なり対処法を紹介しようと思いました。

 うつ・うつ病の治療は、抗うつ薬が中心です。つまり、脳内でセロトニンなどの神経伝達物質の減少が関係していると考えられています。神経伝達物質東洋医学的には、血(ケツと言います)や水(普通にスイと言います)に含まれているとされ、血や水の減少と深い関係があるとみます。ただ、一般的には血や水が減少するような状況にはあまりならず、元気の本とされる気(そのままキと言います)の機能低下が原因として対応することが多くあります。

 しかし、妊娠・出産という状況を考えると、血や水という物質を胎児に分け与えて10ケ月ですから、母親の血や水は減少していても不思議ではありません。加えて出産は出血を伴う一大事業ですから、一気に血は減少します。また、授乳により母乳の原料として更に血を消耗します。環境の変化や喪失体験などによる気の減少や機能低下なら、抗うつ薬や気の補充などで十分な効果が認められるでしょう。

 でも、1年弱に及ぶ消耗との戦い、出産という一大事業、それに続く授乳という新たな消耗戦です。生活リズムの乱れや育児生活という環境変化により、夫のサポートがなければ非常に危うい状況であることに間違いありません。生活リズムの乱れや育児生活などの環境変化には、抗うつ薬以外にも認知行動療法対人関係療法などの心理療法が効果的ですが、夫のサポートが加われば効果増強となります。ただ、母体に起こった変化を考えなければ、回復は長引きやすいと考えるべきです。

 逆に、母体の変化を最小に抑えれば産後うつを予防したり発症しても軽症で済むと予想できます。産後うつに対しては、通常のうつ病に対する治療法に加えて、母体の消耗した血や水の補充をすることが大きなポイントでしょう。このような東洋医学的な考えにのっとり、当薬局では産後うつに限らず多くの体調不良を改善しています。

 現代医学と東洋医学は発想の視点が異なるため、それぞれの利点を上手く活用すれば最高の医療が提供できるようになりますね。


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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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