マライアキャリーさん、双極性障害に

 人は誰しも気分の浮き沈みがあります。宝くじで1億円が当たれば、毎日豪遊するかもしれませんし、大失恋すれば世紀末のように感じられることでしょう。人生はいろんな出来事があり、一喜一憂、喜怒哀楽の連続です。しかし、1億円でも使えばいつかは無くなりますし、大失恋しても新たな恋に出逢うこともあります。いつまでも続くことは無いと誰でも知っています。そう、時間が解決してくれるのですよね。

 先日、マライアキャリーさんは、自身が双極性障害であることを公表しました。精神的な病気・生死に関わる病気・難病などになれば、ほとんどの人が「そんなことは無い!」と否定したくなるものです。時間が経つにつれ現実を受け入れられるようになってきます。そして、現実的な対応(治療)に向かうことができるのですから、否定している時期の辛さ・悲しさなどを一緒に共有してくれる人が身近にいると大きな支えになりますよね。

 ただ、気分の変化がとても極端であったり、いつまでも浮かれた状態が続いたり逆に沈みっぱなしであったり、普通の反応とは違う(病的)場合に、双極性障害と診断されます。しかし、双極性障害であっても通常はうつ状態で受診するので、当初はうつ病との診断で治療が開始されることが多くあります。双極性障害は別名躁うつ病とも言うように、うつ病と同じように感じますが、治療法は全く異なります。正しい診断にたどり着くまでに数年も要することも多く、治りにくいうつ病の場合は一度この双極性障害を疑うと良いかもしれません。躁的なエピソードがあれば軽いものでも医師に話すことが重要です。

 うつ病の場合はセロトニンなどの神経伝達物質を増やす薬剤を使用して脳の働きを活性化します。一方、双極性障害では気分の変動を安定させる気分安定薬という種類の薬剤を用います。加えて、気分の変動を安定させるように生活リズムを一定範囲に保つような生活リズム療法(一種のリハビリ)も行い、薬剤を増やさないような工夫もされています。マライアキャリーさんのようなタレントはなかなか難しいかもしれませんが、症状のコントロールのためには必要なものです。

 私らの薬局にくるうつ病の相談の中には、双極性障害の可能性があるケースもあり、場合によっては躁的なエピソードを医師に伝えるように話して終わることもあります。もちろん、漢方薬にも気分を安定させることができるので、場合により漢方薬を併用することもありますが、双極性障害うつ病よりも自殺率が高いので、慎重に対応しています。

 今までは漢方薬を中心に対応していた双極性障害ですが、心理の勉強をしてきたので認知行動療法などの心理療法で気分の安定を図るようになりました。漢方薬にしても最終的には止めることを視野に入れると、薬剤以外での症状コントロール技術が重要だと考えるからですね。身近な人とのコミュニケーションも重要なことから、対人スキルを高める練習をすることもあります。

 当薬局の相談もバージョンアップしています。わからないことも多くありますが、東洋医学的な視点、心身医学的な視点を入れることで多様な相談に応えられるようになっています。何かあったら、思い出していただければと思います。


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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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