糖尿病はがんになりやすい

 現在、肥満は多くの病気の原因になることが広く知られています。肥満というよりも脂肪細胞という方が正しい表現かもしれません。なぜなら、決して肥満ではない若い情勢でも脂肪肝が見つかるからです。そして、その脂肪細胞からは種々の生理活性物質が分泌され、全身の臓器に炎症を生じさせています。高血圧や糖尿病などの生活習慣病脳卒中心筋梗塞の原因となる動脈硬化、がんなどの悪性疾患、…。これらに共通するキーワードとして「炎症」があるのです。

 その「肥満」から想像する病気に、メタボリックシンドロームや糖尿病があります。日本では、疑いがある人も含めると、約2000万人(およそ6人に1人)が糖尿病と言われてます。そして、2人に1人がガンになるという現在、糖尿病の人は糖尿病でない人に比べると、ガンになりやすいことが分かっているのです。例えば、肝臓癌は1.97倍、膵臓癌は1.85倍、大腸がんは1.4倍、子宮内膜癌は1.84倍という調査結果が報告されているのです。なぜ糖尿病だとガンになりやすいのでしょうか?

 一つには、生活習慣病としての糖尿病になりやすい因子として、加齢、男性、肥満、運動不足、不適切な食事(赤肉、加工肉の摂取過剰、野菜・果物・食物繊維の摂取不足)、過剰な飲酒、喫煙、がありますが、これらは糖尿病とがんに共通するリスクです。ですから、糖尿病に近づく生活習慣は、ガンにもなりやすい生活習慣だと言えます。また、糖尿病の病態としての高インスリン血症、高血糖、炎症もがんの発症につながるとされます。

 糖尿病ではインスリンの働きが悪くなるため(インスリン抵抗性)、インスリンが多く分泌される高インスリン血症になります。インスリン自体は、細胞の成長・増殖にも関わるため、これがガンの発症につながるとされるのです。高血糖の状態は、ガン細胞にとって栄養が豊富な状態ですから、ガンの成長が促されます。ガンの検査としてPET検査がありますが、これはガンが糖を栄養として多く取り込むことを利用しているのです。そして、炎症は細胞が破壊されたことを意味しており、破壊された細胞を再生する時に起こったミスが将来のガンになるのです。

 大雑把に言えば、このような仕組みが関係して、糖尿病の人はそうでない人と比べてガンになりやすいのです。そういう点では、予備軍の状態であってもメタボリックシンドロームでも、高インスリン血症、高血糖、炎症は、体内で揃ってますから、糖尿病でないからと安心してはいられません。なお、高インスリン血症、高血糖、炎症は、肥満の段階から始まりますので、肥満・脂肪(特に内臓脂肪)には、気をつけたいものです。

 では今現在、糖尿病の人、予備軍やメタボリックシンドロームの人、そこまでではないけど肥満の人、これらの人はどんなことに注意したらよいでしょうか。あるいは対策は? まず基本は、食事と運動の見直しになります。脂肪を減らすことでリスクはグーンと低くなります。そして、私は「炎症」に対する対策も追加することをおすすめします。炎症を大きく進めるものに「活性酸素」があります。そして、活性酸素対策は、アンチエイジング対策にもなるのです。ビタミンCやE、新鮮な野菜や果物、EPAなどの不飽和脂肪酸、そして漢方薬、…。

 どんなもので、リスクを減らすか? 一緒になって考えたいと思います。


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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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