睡眠障害と全身炎症

 私の漢方の恩師、寺師睦宗先生が永眠されて約100日にあたる6月17日、私ら教え子を中心に関係者が集まり「お別れ会」を開きました。皆、それぞれに思い出があり、いろいろなエピソードを聞かせていただきました。寺師先生は、政治や歴史に対する話題が豊富で、漢方以外でも多くのことを教わりました。私の医療観や人生観に大きな影響を与えた恩師と出会えたことは、私の宝であり有り難いことだと思っています。

 そんな大きな事業が終わった翌日には、大阪で震度6の大地震が発生しました。残念なことに既に4名の方が命を落としています。災害は、防ぎきれない部分がありますが、対策により被害を最小限に抑えることができます。亡くなられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方には1日も早く平穏な日常が戻ることを願っています。

 私は地震のニュースを聞いた時、20年前の阪神淡路大震災を思い出しました。今、自治医大の教授である苅尾先生が淡路島で辛涼をしており、被災後1週間程度はストレス反応で血圧が上がる時期だと講演で話していたのを覚えています。当然のことながら、充分な睡眠もとれるような状況ではありません。睡眠不足がいろいろな病気の原因になることは、多くの研究により明らかになっていますが、本日の医療ニュースで炎症の指標となるインターロイキン6という物質が増えているとの記事がありました。
中年女性250名の調査結果で結論を出すには早すぎますが、睡眠不足が生活習慣病の発症に絡むことを考えれば、その一端が解明されたと見ても良いでしょう。

 今や「炎症」は、病気や老化現象の発生に関わる重要なキーワードです。老化を早める糖尿病では「糖化現象」により、有名な活性酸素は「酸化ストレス」により「炎症」を発生させます。ですから、「糖化」や「酸化」を抑えるように食事・栄養や運動などの生活習慣を改善しましょうと唱えられるわけです。つまり生活習慣の改善で、病気を予防したり、薬の使用量を減らしたり、健康寿命を延ばそうとしているのです。

 私が以前から考えている「健康生成モデル」には、食事・栄養や運動の他に、睡眠・生活リズムとコミュニケーションも挙げています。心身医療のベースには、病気は生物学的な要因だけでなく(単純に身体だけの問題ではなく)、心理的な要因、社会的な要因、なども複雑に関係しているとの考えがあり、私の今までの相談を通しても心理的・社会的要因を無視していては根本的な改善は難しいと思っていたために、生活リズムやコミュニケーションを追加しました。

 その睡眠の重要性が、改めて慢性炎症という視点で明らかになってきたのです。炎症状態とは私たちの身体の細胞の破壊を意味します。つまり、細胞破壊が慢性的に続いている状態が睡眠不足で促されるというわけです。1年ほど前(?)のブログでは、睡眠不足で感染症になりやすいとの内容をアップしました。短期的にも長期的にも、睡眠の影響は大きいのです。

 ただ、短絡的に「眠れないなら眠剤で」とか「眠れないと大変」などと結論を急がないようにして頂きたいと思います。私が重視するのは、起床時の満足度や日中のパフォーマンスで、これらに問題があれば何らかの形で介入するようにしています。自律訓練法などの心理療法も有効なので、薬を使用しないことも珍しくありません。
 只今、睡眠を自律神経バランスの視点や東洋医学の陰陽論の視点から図示した資料を準備中です。今しばらくお待ちください。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
http://hirohashi-pharma.sakura.ne.jp/ (アドレスを変更しました)

過去のブログの主なものはホームページにリンクを貼ってありますから、見たい記事がありましたら《ひろはし薬局のホームページ→過去のブロ
グ》から探してみてください。(現在の更新はしてませんが・・・)
  あるいは⇒http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/sub6.htm

メールは《Re:タイトル》でお願いします。メールマガジンの申込も随時受付中
     ⇒8hirohashi\gmail.com (\は@に変えてください)

薬事法の関係で、具体的な薬品名は表示を控えています。お知りになりたい場合は、直接ご連絡ください。

講演の依頼に関しては、ホームページに掲載してある講演内容を参考にして、お申込下さい

訪問による出張相談にも応じています。
引きこもり・うつ病などのメンタル相談、外見の気になる皮膚病相談、病中・病後など体力低下による外出困難な場合、など