軟膏・クリームによるかぶれ

 日本全国どこへ行っても暑い夏、でも今年は非常に暑い!そんな中、明日から京都でのブリーフサイコセラピー学会に参加してきます。基本的に会場内はエアコンで問題ないはずですが、盆地の京都の気温を天気予報で知るとガッカリしますね。それでも、スキルアップした自分を想像して、しっかり勉強してきます。

 皮膚の露出が増える夏は、皮膚疾患が増える時期です。治療の中心になるのは外用薬としての軟膏とクリームで、診断あるいは見立てに誤りがなければ慢性皮膚疾患以外のほとんどのトラブルは外用薬で速やかに回復します。慢性皮膚疾患以外のほとんどのトラブルとは、虫刺されや水虫や湿疹・皮膚炎などで、夏場に急増する皮膚疾患のことです。

 虫刺されであればステロイド外用薬が基本で、刺された虫の種類により違いますが、ハチなどでは比較的強めのステロイド外用薬を、蚊なら弱めのステロイド外用薬というように、症状の程度で強さのランクを使い分けます。これは湿疹・皮膚炎でも同じことで、症状に合った強さでないと期待通りの効果が得られません。私の場合は、3〜5日で症状の沈静化を狙ってランクを選んでいます。そして、長くても2週間以内というのが急性皮膚疾患に対するステロイド外用薬使用の自主ルールとしています。このルールは、効かないステロイド外用薬をダラダラと長く使用しないことにつながり、ステロイド外用薬の副作用を出さないで済みます。

 そして水虫なら抗真菌薬というように、医師の診断あるいは薬剤師の見立てはとても重要です。例えば、水虫のように見える皮膚炎がありますが、これに抗真菌薬を使うと間違いなく症状は悪化します。先ほどの2週間ルールなどがあると、予想した治り方をしてないなら、見立て違いの可能性が高いと判断できるわけです。ですから、皮膚疾患においては症状の時間経過による変化が大事です。

 その上で、診断あるいは見立てに問題がなく、したがって選んだ外用薬で効果があるはずなのに、効かない又は逆に悪化した場合は、軟膏・クリームの使い分けが間違っているか、外用薬による皮膚炎(かぶれ)が考えられます。軟膏・クリームの使い分けとは、皮膚の状態により軟膏が適しているのにクリームを選ぶような場合です。意外とこのような間違いは多くあります。

 さらに、軟膏・クリームによる皮膚炎(かぶれ)も珍しくありません。有名なのはロングセラー医薬品だからこその「オ〇ナ〇ン軟膏」によるオ〇ナ〇ンかぶれです。また、水虫薬によるかぶれも割合よく経験します。水虫薬は市販薬もありますし、医師の処方薬でもあります。水虫薬は一般的にかぶれやすい薬として皮膚科医に知られているのです。そのほか、非ステロイド性消炎薬もかぶれやすい外用薬です。私は、非ステロイド性消炎薬のデータも理解していますが、実際の効果が中途半端でありかぶれやすいということで、使用していません。非ステロイド性消炎薬を使うなら弱いステロイド外用薬を短期間使う方が安全と考えているからです。

 皮膚疾患の場合は直接見ることができますから、余計な苦痛を与えないためにも積極的に皮膚を観察することが重要と考えています。治らない皮膚疾患は、診断あるいは見立ての間違いかもしれませんし、軟膏・クリームの使い分けが間違っていたり、場合によっては外用薬による皮膚炎(かぶれ)が起きている可能性もあります。疑わしい場合は、説明を求めてはいかがでしょうか。



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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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