間質性膀胱炎と慢性頭痛

 薬剤師仲間との勉強会で発表することがあり、「中枢感作」について改めて調べてみました。中枢感作とは、簡単に言えば脳の誤認による異常感覚(量的でもあり、質的でもあります)のことです。例えば、最近では慢性腰痛に対して認知行動療法という心理療法が有効とされガイドラインでも推奨されているように、本来の痛み以上に(誤って)強く感じている痛みなども、中枢感作の一つの現象です。

 中枢感作には慢性腰痛のように感覚の増幅もありますし、化学物質過敏症のような感覚過敏もあります。この中枢感作に対してはいくつかの薬剤が使用されており、慢性腰痛の他にも、線維筋痛症顎関節症などの疼痛疾患や、慢性疲労症候群過敏性腸症候群むずむず脚症候群などの内科疾患などへの応用されています。その他、抑鬱やPTSDなど精神疾患に中枢感作が関係するとされますが、理解できる範囲ではないでしょうか。

 私がビックリしたのは、片頭痛や緊張性頭痛や月経困難症というありふれた疾患にも中枢感作が関係するということです。確かに、慢性頭痛では、鎮痛剤を常用している人は少なくありません。常用しすぎて、薬剤乱用性頭痛という新たな頭痛が追加される方も珍しくないのです。今回のタイトルを「間質性膀胱炎と慢性腰痛」としたのは、中枢感作という共通点があるためです。

 脳の誤った認識を本来の正しい認識に直してゆくために、心理療法は有効です。中枢感作が関係する上記の疾患を心療内科を中心として心身医学的に治療するのは、当然といえば当然なことでしょう。そして例えば、過敏性腸症候群では国際的なガイドライン催眠療法が推奨されているように、認知行動療法以外にも多くの有効な心理療法が存在します。ただ、認知行動療法に比べエビデンスの部分では弱いのが残念ですが、認知行動療法で効果がなくても諦める必要は全くありません。

 私は、鎮痛薬を常用していた慢性頭痛の何人かを漢方薬で鎮痛薬を必要としないレベルまで改善させています。認知行動療法も使いますが、筋弛緩法や自律訓練法などは多用しており、同様に有効と考えています。中枢感作という概念は登場して50年も経っていますが、まだまだ医療者の理解は少ないようです。ただ、中枢感作が関係する症候群があり、認知行動療法などの心理療法を併用することが疾患の改善には重要なことは間違いないでしょう。

 漢方薬の効果を高められればと始めた心身医学の勉強ですが、現在は積極的に心理療法を組み合わせて、短期間で終了するよう工夫しています。一種の統合医療ですけど、私はとても気に入っており「心療漢方」と名付けています。慢性の病気で悩んでいる人に、治療法の選択肢の一つとして参考になれば幸いです。


間質性膀胱炎と慢性頭痛
漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
http://hirohashi-pharma.sakura.ne.jp/ (アドレスを変更しました)

過去のブログの主なものはホームページにリンクを貼ってありますから、見たい記事がありましたら
《ひろはし薬局のホームページ→過去のブログ》から探してみてください。(現在の更新はしてませんが・・・)
  あるいは⇒http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/sub6.htm

メールは《Re:タイトル》でお願いします。メールマガジンの申込も随時受付中
     ⇒8hirohashi\gmail.com (\は@に変えてください)

薬事法の関係で、具体的な薬品名は表示を控えています。お知りになりたい場合は、直接ご連絡ください。

講演の依頼に関しては、ホームページに掲載してある講演内容を参考にして、お申込下さい

訪問による出張相談にも応じています。
引きこもり・うつ病などのメンタル相談、外見の気になる皮膚病相談、病中・病後など体力低下による外出困難な場合、など