私が、食事も重視するわけ

 暑さのピークはようやく過ぎたようで、新潟県の辺りには秋雨前線がウロウロしています(私事ながら、稲刈りの始まる頃に現れないで欲しいのです)。でも、本格的な秋も間近で、芸術の秋、食欲の秋、行楽の秋、・・・ですね。いろんな意味で、せっせと蓄える時期ですが、脂肪の溜め過ぎは「死亡」につながりますので注意しましょう。

 ところで、先々週に栄養士さんに講演する機会があり、以前から思っていることを改めて再認識しました。だいたい漢方を専門とする人たちは、概して食事内容にも注意してアドバイスします。とてもゆるい指導もありますし、非常に厳しい指導もあります。私はどちらかというと緩い指導で、やはり食事は人生の楽しみの一つだと思うので、その楽しみを奪うことが必要とまでは考えないのです(ケースバイケースです)。また食事療法もいろんな考え方があり、私自身どれが正しいのか医療人として説明できないのも理由です。東洋医学的には『中庸』を重視してますから、「ほどほどに」と説明することになるのです。

 ただ資料を作りながら、食事に関心を持つきっかけになった経験を思い出しました。それは20年ほど前の東洋医学会で、当時の大阪市立大学皮膚科石井教授の発表を聞いてのことです。大学病院ですから重症の皮膚病患者さんが集まります。アトピー性皮膚炎は今よりも治りにくい時代で、石井先生は現代医学としての皮膚科治療に加え漢方薬も併用して効果を上げていました。それでも治らないアトピー性皮膚炎患者さんが何人もおり、試行錯誤して食事に注目して指導したところ改善に向かったという報告でした。食事以外の治療法は同じなのに、食事を指導したらで治ったのです。

 このとき、食事指導の重要さを始めて認識したのです。その食事療法の基本は和食ですが、長期的に視れば塩分量に注意が必要です。すべてを満たすようなパーフェクトな食事はないのかもしれませんが、ある病気を治すために別の病気になっては意味がありません。だから、「ほどほど」なのかもしれません。

 また、ある病院の大腸がん手術後の退院までの日数も紹介しました。80才以上の大腸がん患者さんを栄養状態の良い人と悪い人で分けると、良い人は平均1ヶ月で退院、悪い人は退院まで平均5か月も要していました。今や、ただの食事ではないのです。多くの病院では現在、栄養サポートチームが立ち上がっており、積極的な栄養療法を行うことで、病気の予防や回復に役立てようとなっています。

 医療というのは身体を修理することですが、身体を造るという視点を現代社会は忘れているように思えてなりません。私ら薬剤師の仕事は「安全で効率よい薬物療法の提供」です。そのためにも、もっと食事に目を向ける必要があると改めて思いました。

 ついでに言うなら、今の子供たち(将来の大人たち)の身体を造るのも毎日の食事です。大げさに言えば、将来の日本を造っているとも言えます?! 未来の日本まで風呂敷を拡げなくても、私は私に相談してくれる人たち(周囲の人や家族も含めて)の5年後・10年後・20年後の健康状態を見据えて、食事などの生活習慣をアドバイスしてゆきたいと思っています。それが私のビジョン『(相談者の)幸せ作り』につながると思うので。



漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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