帯状疱疹後神経痛への対応

 秋雨前線が元気過ぎる!最近の傾向として、集中的に降るので被害が大きく、ニュースからは目が離せません。それと、いつ我が身に降りかかるかわからないので、やはり避難対策として準備も忘れてはならないでしょう。「ここは大丈夫」という例外は、もはや幻想と思う方が良いようです。台風の動きも気になりますので、最新のニュースをチェックして被害を最小限に抑えたいものですね。

 さて、慢性痛に悩む人は非常に多く、整形外科や整骨院鍼灸院だけでなく整体・カイロプラクティック・その他怪しい施設やサプリメントまで、はしご酒のようにあちこち回っています。それだけ、十分な効果を得られていないのでしょう。やはり、慢性痛は一筋縄ではいかない難治性の疾患群なのです。もちろん、漢方相談にも多くの方々が訪れますが、漢方薬の得意とする疼痛疾患はあるものの万能ではありません。このような点から、慢性痛は集学的な治療が行われるようになってきています。

 集学的な治療とは、いわゆる各方面の専門家がチームで行う治療です。医師だけでなく、理学療法士作業療法士などのリハビリスタッフ、薬剤師や栄養士、精神科医臨床心理士などの心理療法スタッフ、などなどが総合的に痛みの緩和に当たるのです。それだけ、慢性痛は複雑な疾患だということです。このことを理解しないと、痛みで悩んでいる人の相談には乗れないのです。例えば「検査では異常がないのだから、痛いはずありませんよ」など。

 帯状疱疹後神経痛(PHN)も難治性の慢性疼痛の一つとして知られています。帯状疱疹は皮膚に水疱の集団を形成する皮膚病ですが、実は皮膚に至るまでの神経にもダメージを及ぼしています。そのために皮膚症状が治っても神経障害として残ることがあり、帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれます。この神経痛に対しては、通常の痛み止め(鎮痛剤=Nsaids)はほとんど効果がありませんが、神経障害性疼痛に対する治療薬があり治りやすくなってきました。

 痛みの感覚は、いろいろな要素が関係していることがわかっています。帯状疱疹後神経痛(PHN)を例にすれば、皮膚の痛みは侵害受容性疼痛、神経痛は神経障害性疼痛です。その他、長引けば心理的な痛みが加わってきます。心理的な痛みは、長期になるほど複雑化した慢性疼痛を形成すると考えられ、場合によっては中枢感作によって新たな難治性疾患につながります。

 つい最近ですが、家族の病気により回復が長引いていたと思われるケースがありました。もちろん、その人の体質に従い漢方薬は飲んでもらいましたが、家族の病気にも私が上手く対処できたためスムーズに回復できたようです。(この症例は、日本東洋医学会新潟県部会で発表予定です)このように、慢性疼痛に対して身体的部分だけを意識していてはダメなのです。心理的な痛み・社会的な痛みへのアプローチを加えることで回復しやすくなるので、ある程度の時間をかけて信頼関係を作らないと上手くいかないでしょう。

 私たちの心身には、痛みを抑えるシステムがもともと備わっています。この疼痛軽減システムを上手く引き出し活用すれば、より満足度の高い疼痛治療が行われると思います。痛みのメカニズムを知り、疼痛軽減システムも利用すれば、慢性疼痛も難治性疾患でなくなるように思うのです。



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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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