ガンと便秘の微妙な関係

 冷たい大陸高気圧に日本列島が覆われるようになりました。「暖冬」との予想にも、天邪鬼の私は「大雪かな?」などと思ってしまいます。どっちにせよ本格的な冬を迎える前に、快適な秋を楽しみたいものです。読書に、レジャーに、飲食に、・・・、日常とは違った環境に身を置くことも大切ですよね。

 健康で快適な生活のために、私が注目するキーワードの一つに「腸内細菌叢・腸内環境」があります。アレルギー疾患や膠原病などを含む自己免疫疾患、うつ病自閉症などの精神疾患アルツハイマー病やパーキンソン病のような神経変性疾患、等々広範囲な病気との関連が報告されています。そして今回、抗がん剤の効果にも関係が深いような報告がありました。

 ケアネットからの医療ニュースによると、がん治療の新しい柱「免疫チェックポイント阻害薬」の効果は便秘の人よりも便秘でない人の方が高いというものです。京都府立医科大学・片山勇輝氏の研究(第16回日本臨床腫瘍学会)の一端を紹介します。非小細胞肺がんに対し免疫チェックポイント阻害薬を使用した人の効果を全生存期間で比較したところ、便秘のある人は79日だったのに対し、便秘のない人は511日まで伸びたそうです。単純計算で6.5倍です。(全生存期間とは、ガンの人が亡くなるまでの期間をいいます)

 この免疫チェックポイント阻害薬は、ノーベル賞受賞の本庶先生の業績が大きく関係しており、マスコミなどでも報道されご存知の人も多いと思います。高額な薬剤ですし、有効率も2〜3割程度と報告されますが、有望な治療法であることに間違いありません。今回の報告は、この新しい免疫チェックポイント阻害薬の効果が便秘の有無によって変わるらしいというものです。

 便秘の有無=良好な腸内環境・腸内細菌叢、と単純に結び付けられませんが、かなり高い関連性があるだろうと考えて不思議ではありません。全生存期間を延ばした他の影響因子の有無など、まだまだクリアすべき課題は多くありますので、早合点しないよう注意しながら次回の報告を待ちたいものです。
ただ、便秘の解消そのものに全く問題はありませんから、ガンであろうとなかろうと自然な排便習慣を作り健康で快適な生活にしましょう。


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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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