耳鳴りにカウンセリング

 1年近く前にシリーズとして放送されたNHKスペシャル「人体」を見た人も多いと思いますが、私たちの身体は複雑なネットワークを構成しています。医学の進歩は、現在の臓器中心の研究により得られたのも事実ですし、器質的な多くの病気が治ってきました。しかし、一方で機能的疾患と言われる臓器そのものには異常を認めない病気が、臓器別の診療スタイルに対する反省などからクローズアップされています。NHKスペシャルでは改めてそのことを認識した人もいたと思います。

 東洋医学ではもともとバランスを重視した視点で病気を捉えています。ですから、機能的疾患に対しては積極的に使用され効果も上げているのです。また現代医学でも、心身医学の分野では相当以前より、病気と心理の関連を重視したスタイルをとっており、特に自律神経系・免疫系・内分泌系(ホルモン系)のネットワークを意識していると思います。治りにくい病気では、これらのネットワークを念頭にアプローチしやすい部分に介入することで治りやすくなることもあるので、複雑なネットワークの研究が進むことが望まれます。

 耳鳴りは、成人では10人に1人が感じている非常にポピュラーな症状です。めまいや吐き気などが同時にあればメニエール病などの可能性もありますが、実際には、どこにも異常がない耳鳴りが大半のようです。異常がなければ、現代医学はお手上げ状態で「気のせい」「ストレス」「疲労」などと誤魔化されている人も多いと思います。ただ、「気のせい」でもなければ「ストレス・疲労」でもなく、本人には耳鳴りが聞こえているのです。そして、「気のせい」と言われれば言われるほど耳鳴りは大きく感じるようになるのも事実です。

 そこで、日本聴覚医学会では異常がない耳鳴りには、認知行動療法などの心理療法・カウンセリングを推奨することとしました。来春にもガイドラインとして正式に発表されるようです。東洋医学的にも耳鳴りは治りにくい疾患で、特に老化によるものは病気というよりも生理的変化という方が正しいのでしょう。病的な老化であればスピードを遅くするような方法がないわけではありません。しかし、生理的な老化である以上、防ぎようがありません。

 ただ、対処方はあるのです。それが、カウンセリングや認知行動療法のような心理療法です。私たちの脳は、音や痛みなどの感覚を増幅するシステムをもともと備えています。耳鳴りは、脳による音の増幅が原因との見方が有力で、その増幅をカウンセリングや心理療法が抑えるのです。このことは、私も実体験として経験しており、妥当な指針ではないでしょうか。

 逆に、安定剤などの薬物療法や栄養補助食品・サプリメント・健康食品などは勧めないとしています。色々なサプリメント・健康食品も販売されていますが、データも根拠も不完全なものが多く、私自身も疑問を持つものが多数出回ってますので注意ください。


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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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