マインドフルネスと慢性疼痛

 「〜〜病に漢方薬は効きますか?」という質問をされることがあります。「もちろんです。ただ、やってみないと分かりません。」と答えるようにしています。本音のところでは、漢方薬の専門家にとって「効く」のではなく「効かせている」のです。病態と体質を東洋医学的モデルにあてはめ「どこをどのように変化させればいいのか」を考えて、適切な漢方薬を意図的に使用しているのです。全く同じ体質でなくても、再現性をもって一定以上の成績を出すのがプロだと思っています。

 先週末は、ある心理系の学会に参加してマインドフルネスの研修・ワークショップを集中的に受講してきました。講師はマインドフルネスの研修・普及に精力的に取り組んでいる大谷彰先生です。マインドフルネスに関する大量の文献(主に脳科学分野)を紹介し整理した書籍は、評判のいいベストセラーとなっているようです。ただ専門的過ぎるので、一般の人には難しいかもしれません。一方で私たちプロには科学的なデータは重要で、一定の成績を出せるという根拠があればツールとして使用することになります。

 プロ(専門家)として、「マインドフルネスでも試してみたら?」「よくわからないけどマインドフルネスしかないよ」・・・では、悩みがあ持って頼ってくる人たちに失礼です。「マインドフルネスによって、今の状態がこんな風に変化して、その結果あなたの悩みは解消に向かうでしょう。」のような説明が求められているのではないでしょうか。

 慢性疼痛に関して言えば、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)、マインドフルネスストレス認知療法(MBCT)、アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)の3つの治療法に有効性が確認されています。マインドフルネスの要素を取り入れた心理療法により、苦痛としての痛みが解消に向かうのです。慢性疼痛に悩んでいるのなら、今ある痛みが少しでも和らいだとしたらどうでしょう。慢性疼痛では、痛みに対する感覚が変化しているとされます。それをマインドフルネスによって正常な感覚にできれば、痛みそのものも減少するのですね。

 ちょっと、にわかには信じられないかもしれませんが、科学的なデータにより裏付けられているので自信をもって薦められます。現在、普及用のプログラムを作成中です。大谷先生にアドバイスを頂き、骨組みはできているので、説明用のわかりやすい資料を作ります。漢方薬と併せて慢性疼痛の解消に役立てたら幸いです。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
http://hirohashi-pharma.sakura.ne.jp/ (アドレスを変更しました)

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