朝食を抜くことのデメリット

 朝、布団から出るのに少しばかり勇気が必要になってきました。年を取ったせいではありません。寒いのです。目は覚めていても布団の温もりが私を引き留めるのです。無理して出れば、温まっていた身体は冷気にビックリして血圧が上がることでしょう。活動を始める朝は誰でも血圧が上昇します。これをモーニングサージと言いますが、寒さで急激に血圧が上がると心臓や脳でトラブルが起きやすいので、「魔の時間」と呼ばれています。中年期以降は要注意なわけです。

 というわけではありませんが、朝食を抜く人が多いという調査結果があります。「食べている時間がない」「ダイエット」「食べる習慣がない」など、いろいろな理由があると思います。でも、時間栄養学の視点からは「朝食を̪食べる」ことの重要さが見て取れます。冒頭のモーニングサージのように、私たちの身体は約24時間(本当は25時間とされています)のリズムで活動しています。体内時計の働きによるものです。

 その体内時計は、明るい光や食事により修正され、日中の活動に必要な体内状態を作っているのです。血圧を上げて全身の血流を増やしたり、体温を上げてエネルギー代謝を高めたりします。その一方で、一定時間が経つと、休息モードに入るような体内状態となり、血圧・体温を下げ、余分なエネルギーを保存するようにします。ですから、夜食や睡眠直前の食事は太りやすいのです。

 名古屋大学生命農学研究科の小田氏らのグループによると、ラットのデータではあるものの、朝食を抜くと脂質代謝が悪くなり体脂肪量や体重増加が認められたそうです。つまり、肥満やメタボリックシンドローム脂肪肝、糖尿病などと関連するわけです。ダイエット目的も兼ねて朝食を抜いていた人にとっては、全く逆の変化が体内で起きていることになりますね。

 また、体温を上げるスイッチも朝食を摂取することで入りますので、朝食を抜けば体温も上がりにくく冬の冷え症を更に辛いものにします。当然、ダイエットにも逆効果となります。その他、便秘解消のためにも朝食を摂取することの重要性は以前から指摘されており、夕食に比べて軽視されることの多い朝食ですが、今一度見直して頂きたいものです。

 余談ですが、海外旅行などの時差ボケ解消に、太陽光を浴びることと食事の摂取が効果的だと言われます。私は、「太陽光でメインの体内時計を、朝食で身体の体内時計をリセットします」と説明しますが、どちらも大切なのです。若い世代に多いとされる「睡眠時間後退症候群(睡眠時間が遅くなるリズム障害)」も、食事摂取がポイントとなります。ついでながら、体内時計を意識すると薬も効果的に使用でき(時間治療学と言います)、副作用を減らしつつ最大限の効果を得ることが知られています。


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