冬のトイレや浴室は、危険な場所に変わります。今回は、トイレの
危険性を考えてみました。
一般的に、男性よりも女性に、若年者よりも高齢者に、便秘が増えて
きます。便秘になると、腸内にとどまっている時間に比例して、糞便が
硬くなります。その結果、排便時に息み(あるいは力み)ます。自然な
反応です。
ただ、この息むという行動によって血圧も上がります。若年者では、
最高血圧(収縮期血圧)が10mmHg程度なのに、高齢者では20~
30mmHgも上昇します。
そして、便座の暖房はあってもトイレ全体の暖房をしている家庭は
非常に少ないと予想できます。想像できると思いますが、冬のトイレは
血圧が急上昇しやすい場所の一つなのです。
くも膜下出血のリスク因子を調べた海外研究があります。排便時の
息みは、通常時の7.3倍のリスクが報告されています。因みに、性交
では11.2倍だそうですから、いかなる場合でもパンツを脱ぐことは
リスクになるようです。(Stroke:. 42(7): 1878-1862. 2011. )
また、私の想像ですが、多くの人にとって排便する時間帯は、早朝
から午前中であろうと思います。この時間帯は、体内時計によって
血圧が上昇する時間帯なのです。
自治医科大学の苅尾教授は、これらの血圧上昇が重なることを
ダイナミックサージと呼んで、危険性を訴えています。危険因子が
重ならないようにすれば、リスクを低く抑えることはできるので
改善しやすいところから手を付けるのも一つでしょう。
12月は大掃除の時期でもあり、私は「腸内の大掃除」も重要だと
考えています。下痢・軟便の人は大掃除よりは調整する必要性がある
と思いますが、硬い便の人はもとより普通便の人も、年末の休暇に
際して、塩類下剤などを使用したらと思います。
「腸内の大掃除」は、アレルギーや自己免疫疾患やガンなど、
免疫系の調整になるように思うのです。この件に関しては、また
別の機会に。
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薬剤師・公認心理師(心理カウンセラー) 廣橋 義和
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