キシリトールは安全な甘味料なのか?

 キシリトールは虫歯予防に効果的ということで、ガムなどに
使用されている人工甘味料です。もしかしたら、歯科医にすすめ
られて使用している方も多いかもしれません。

 

 そのキシリトールの健康に対する話題を何回か目にしたので
今回のブログで取り上げてみました。
2026年8月にドイツで開催された欧州心臓病学会でカナダ・
マギル大学のThomas M. Zhengらの報告は、心筋梗塞や脳卒中
などの心血管疾患が増加したというものです。

 

 平均年齢60歳以上で、カナダでは6年間、ヨーロッパでは
30年間の前向き観察コホート研究を解析した結果です。
その結果、血液中のキシリトール濃度が高いほど、心血管疾患を
1.09~1.86倍発症しやすいことがわかりました。

 

 虫歯予防の中心は、小児および青年期の比較的若い人達だと
考えられますので、おそらく若い人たちがキシリトール製品を
使用する分には今回の報告を気にし過ぎる必要はないでしょう。

 

 ところが、中年期以降の人達になると話は変わります。
虫歯予防のメリットよりも心血管疾患のデメリットが大きく
なりますので、「歯に良さそうだから」というイメージで
使い続けるのは少し考えた方がいいかもしれません。

 

 もっとも、今回の報告にはアジアの人種は含まれていません。
したがって日本人に、そのまま当てはまるかは慎重に判断する
必要があります。とはいえ、少なくとも中年期以降の年代では
キシリトールの恩恵は限られたものになりそうです。

 

 それでもガムを嚙むことで、唾液の分泌が増加して口腔内の
衛生状態が向上し歯周病予防や糖尿病などの生活習慣病対策に
良いこともわかってますが、その場合もキシリトール配合に
こだわる必要はないでしょう。

 

 むしろ中年期以降は、ブラッシングなどにより積極的に
歯周病対策をすすめる方が大きなメリットにつながります。
キシリトール入り製品を使用されるなら、一度メリットと
デメリットを天秤にかけて判断してみてはいかがでしょうか。

 

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脳のゴミ処理に睡眠と○○

 60歳を過ぎると認知症が気になります。
何をすると良いのか? いろいろ情報を集めたくなりますよね。
その努力に水を差すわけではありませんが、画期的な方法は
私の知る限り残念ながら無いようです。

 

 ただ、当たり前すぎて軽視されやすい印象ですけども、
食事、嗜好品、運動(活動)、生活リズム、睡眠及び休養、
心理的な健康(コミュニケーションやストレス・コーピング)、
これらは基礎となるものです。

 

 その基礎の上に、いろいろと脳を保護する方法がプラスされる
ことで、最大限の効果が引き出されるのではないでしょうか。
たとえば、魚油の不飽和脂肪酸やビタミン類、一部のハーブ・
薬草などが注目されています。

 

 しかし、その前に私がよく喩えるのは、部屋に新しい道具を
入れる前に、部屋を片付ける必要があるということです。
ゴミや古い道具が残ったまま、新しい道具を入れても、その
性能を充分引き出すことは難しいでしょう。

 

 そこで、脳のゴミを処理するシステムが私たちにはもともと
備わっているのです。このゴミは、放っておくと、脳の機能を
低下させ、場合によっては脳を壊したりします。その結果、
アルツハイマー型認知症やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症
(ALS)などの脳神経系が侵される病気になると考えられます。

 

 そのゴミ処理の重要なシステムが睡眠です。意識を低下させ、
筋肉も弛緩させて、自然界では敢えてリスクを冒す時間にも
かかわらず、人生の1/4~1/3の時間を睡眠に当てるのは、
そんな意味があるようです。

 

 さらに、日中もそのシステムは働いていることがわかりました。
それが、日中の活動中の腹筋の運動だそうです。
Garborg CS, Ghitti B, Zhang Q, Ricotta JM, Frank N,
 Mueller SJ, Greenawalt DI, Turner KL, Kedarasetti RT,
 Mostafa M, Lee H, Costanzo F, Drew PJ. Brain motion
 is driven by mechanical coupling with the abdomen.
 Nat Neurosci. 2026 Apr 27. doi: 10.1038/s41593-026
-02279-z.
これによって脳脊髄液が動き、脳に栄養を送ったり、ゴミを回収
して処理しているということです。

 

 このあたりがハッキリしてきたことで、如何に基礎的な生活習慣
としての、睡眠や日中の活動(運動や何気ない動作も含まれる)が
評価の定まらないサプリメントなどに手を出すよりも重要だと
わかってきたのです。

 

 日中の活動に励めば、食事も美味しく頂けますし、適度な
疲労感によって質の良い睡眠に繋がり、そのうえ心理的な
健康度も上がることでしょう。
最強(といってもいいくらい)の脳の保護策は、研究が進んでも
当たり前すぎる生活習慣にあるようです。

 

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副鼻腔炎と咳との関係

 お恥ずかしい話、夏風邪をひいて治るまで2~3週間ほどの
期間を要してしまいました。今までであれば4~5日である程度
回復していたものの年齢相当の回復力低下を実感せざるを得ない
現実に直面していました。

 

 さすがに10日ほど経ったころ、自分の治癒力だけでは限界と
思い、漢方薬の力を借りることにしました。夏だったこともあり、
薬の必要性を感じなかったということと自分の回復力を信じて
いたことがあったわけです。

 

 症状は、粘性(膿性ではない)の鼻水と咳でした。咳の出方は
明らかに後鼻漏によるもので、自分を実習台として後鼻漏による
咳のパターンを体験しながら再確認していました。知識としては
知っていたものの、体験を通すと微妙な点まで明らかになった
ことは幸いです。

 

 さて、風邪をひいた後に咳だけ残ることは多くの方が経験
していることと思います。今まで、感冒後咳嗽として一括りに
してきていましたが、今回の経験を通して過去の相談を振り
返ると、意外と多くの副鼻腔炎による咳があったことに気づき
ました。

 

 少し長引いた風邪症状(微熱、倦怠感、食欲不振など)は
漢方相談が得意とする分野です。もちろん、咳の相談も
よく受けます。今回の体験は、感冒後咳嗽として一括りに
していた咳症状を、副鼻腔炎による咳を考慮して対応する
ことの重要性を教えてくれました。

 

 副鼻腔炎による咳は、気管支炎による咳とも咳の出方が
違いますし、アトピー咳嗽や咳喘息とも異なります。
咳の出方のパターンや特徴が異なるので、当然に使用する
漢方薬も異なってきます。

 

 もちろん体質の要素も加わるので、咳に使う漢方薬は
ざっと30~40種類はあるのです。

 

 ところで、冒頭の私の咳と鼻炎ですが、漢方薬を飲むと
「あ~、治っていく感じがするなぁ」という体験ができ
ました。漢方薬に身体が反応しているという感じです。
飲みだして2~3日で、かなり楽になったものです。

 

 一方、漢方薬の効き方を自分で体験できたことは収穫
でしたが、自身の年齢も意識せざるを得ない体験でした。
いろんな場面で体力の衰えを実感しますが、病気に対する
抵抗力や回復力も総じて衰えていることから、過信しないで
大事に自分の身体を使っていこうと思います。

 

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改めて「熱中症」に注意しよう

 先日、こんな記事を見ました。
病院(被災地ではありません)の中で、業務中の看護師が2名
熱中症になり、一人は入院治療が必要な状態だったと。

 

 このことは何を意味するのでしょうか。熱中症について
おそらく十分な知識を持ち、しかも病院内の仕事中ですから
「熱中症などになるはずがない」と、油断はしてなくても
妙な安心感を持っていたのではないか、と私は考えました。

 

 私だって、同じ立場で同じ状況なら「熱中症になろうはずが
ない」と考えていたはずです。今でも「ホント?」って思い
ながら記事を書いています。でも本当なのですよね。

 

 ここに、熱中症の怖さがあるかもしれません。医療者でも
状況によっては変な自信だけで無防備なまま過ごしていると
熱中症になるという事実。

 

 つまり、屋内や屋外にかかわらず、冷房の使用・不使用も
関係なく、専門家であろうとなかろうと、熱中症になる
リスクは誰にでもあるということです。

 

 熱中症対策は難しくありません。汗をかく労働や運動に
従事するなら水分(とミネラルの)補給を中心にします。
汗をあまりかかない室内労働者や高齢者などは熱がこもり
過ぎないよう(体温の上昇に注意して)ときどき体熱を
冷ますようおしぼりで身体を拭いたりします。

 

 状況により適切な対策は異なりますが、今一度、熱中症の
リスクが身近に存在しているとの認識で8月と9月を乗り切り
たいものですね。

 

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「漢方薬で心身が調う」と・・・

 東洋医学はバランスを重視します。
五臓(肝・心・脾・肺・腎)のバランスであり、気・血・津液
(水)のバランスであり、陰と陽のバランスでもあります。

 

 これらのアンバランスを見つけるのが漢方家の仕事であり、
その修正に使われる薬が漢方薬です。因みに、鍼や灸を使って
修正する専門家が鍼灸師です。

 

 バランスの崩れた状態だと、心身は本来の機能に障害が生じ、
身体や心の不調として、あるいは病気として、表れてきます。
その不調や病気は、ある日突然表れるというより、徐々に
気づきにくい形で変化していて、限界を超えたときに表れる
のです。

 

 漢方薬で治るときはこの逆で、不調や病気がいつの間にか
消えていくようなパターンと比較的早く消えていくパターン
があります。

 

 どちらの治り方にしても、崩れたバランスが回復しないと
再発したり、違う形で不調や病気として表れますので、
アンバランスな状態をしっかり修正することが重要です。

 

 アンバランスな状態からバランスのとれた状態へ移る
過程で、小さな変化に気づくことがあります。

 

 例えば、「肩が楽になった」「顔色がよくなった」
「寝つきがよくなった」「目覚めがすっきりしている」
「悪夢を見なくなった」「化粧のノリがよくなった」
「頭痛が軽くなった(無くなった)」「疲れにくい」
「身体が温かい」「食事が美味しい」・・・など。

 

 些細な変化かもしれませんが、バランスが調うことで
心と身体が本来の調子を取り戻したといえます。
そして、私は劇的な治り方よりも、少しずつ調っていく
治り方の方が好ましいと考えるようになりました。

 

 劇的な治り方は、学会発表するにしてもインパクトが
強く、誇らしい気持ちにもなるのですが、ひょっとしたら
どこか心身に負担をかけてないかと気になるのです。
(アンバランスな部分が残っているかも・・・)

 

 突貫工事ではなく、一つ一つ丁寧にバランスを修正して
いくような治り方は、たぶん再発しにくいことでしょう。
その間の気づきで、生活習慣を若干でも修正できれば
さらに再発しにくくなるのです。

 

 身体に合う漢方薬とは、心身の、どこに、どんな形で、
アンバランスが生じているかを私たちに教えてくれます。
同じ病気でも、アンバランスのパターンは人それぞれ。
だから、体質を観る(バランスを観る)とは、心身の声に
耳を傾けることです。

 

 心身が崩れるときも、心身が調うときも、些細な変化に
気づけることが大事だと思います。

 

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グルコサミンとアルツハイマー型認知症

 関節サプリメント市場はとても活気のある分野です。テレビ
コマーシャルや通信販売を通して、かなりの金額が動いている
ことでしょう。(具体的な数字は興味がないので調べません)

 

 ヒアルロン酸やコラーゲン、コンドロイチン、グルコサミン、
などなど。これらで「楽になった」等と使用者の声として
紹介され、現在の治療に満足できない方たちの受け皿の一つに
なっています。

 

 これらが効くか効かないかは別にして、サプリメントや
健康食品に対する一般の方の印象は、「副作用がない」
「安全」というものでしょう。
私は「そんなことはない」と、ときどきお伝えしてきましたが
ちょっと気になる報告があるので紹介します。

 

 フロリダ大学のホーキンソンらの報告によると、グルコサミンが
アルツハイマー型認知症を加速させる可能性が高いようです。
これには、糖鎖蓄積(ハイパーグリコシル化)という機序が
関係しており、5年間の追跡でグルコサミンを摂っていた群は
25%のリスク増だったとされます。
 Hawkinson TR, et al. Nat Metab. 2026 Jun 9.
 [Epub ahead of print]

 

 グルコサミンを飲む方は高齢の方が多いと推測されますが、
認知症の予防にも関心が高いと思います。5年で25%増と
いうのは決して低くない結果です。「サプリメントだから
安全」という妙なイメージは捨てて、本当に必要かどうかと
いう視点で判断していただけたらと考えます。

 

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痛みと睡眠、痒みと睡眠

 寝苦しい夜が続いていますね。
エアコンを上手に使いながら、快適な睡眠を確保して、日々の
健康作りに役立てたいものです。

 

 疼痛の相談者には「痛みで眠れない」とか「痛みで目が
覚める」と言う方がいます。睡眠が害されるほど、強い痛みを
抱えているんだなぁと共感しながら話を伺っています。

 

 今回、Painという医学雑誌に掲載されたシドニー大学の
Kangchao Wuらの論文によると、睡眠ホルモンとして知られる
メラトニンで筋骨格系の疼痛が緩和したとの報告がありました。

 

 また、痒みの相談でも同様に「痒みで眠れない」とか「痒みで
目が覚める」と言う方が多くいます。アトピー性皮膚炎や慢性
じんましんの方がほとんどですが、相談中もあちこちの皮膚を
ポリポリと掻いています。

 

 このようなケースでは、清熱解毒薬に分類される生薬を含む
漢方薬を使用することが多くあります。痒みと不眠を同時に
改善することが狙えるからなのですが、痒みの軽減とともに
睡眠も改善していくことを多く経験しています。

 

 今回の論文に触れたとき、痛みも同様に考えると良いかもと
頭に浮かびました。ただ、痒みに対する清熱解毒薬のように
一筋縄ではいきません。疼痛のメカニズムは東洋医学的にも
複雑なのでケースバイケースで対応せざるを得ないのです。

 

 それでも、新たな視点を得たことで、今まで改善が難しい
と思えた人でも、何らかの解決策を示せるようになると
考えます。

 

 今、私の頭には、補血薬や安神薬などが浮かんでいます。
これらをベースに慢性疼痛の相談に対応したら良い結果に
つながるかもしれません。慢性疼痛の相談者の体質と候補の
漢方薬がマッチすれば、きっと素晴らしい効果が得られる
ことでしょう。

 

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