「漢方薬で心身が調う」と・・・

 東洋医学はバランスを重視します。
五臓(肝・心・脾・肺・腎)のバランスであり、気・血・津液
(水)のバランスであり、陰と陽のバランスでもあります。

 

 これらのアンバランスを見つけるのが漢方家の仕事であり、
その修正に使われる薬が漢方薬です。因みに、鍼や灸を使って
修正する専門家が鍼灸師です。

 

 バランスの崩れた状態だと、心身は本来の機能に障害が生じ、
身体や心の不調として、あるいは病気として、表れてきます。
その不調や病気は、ある日突然表れるというより、徐々に
気づきにくい形で変化していて、限界を超えたときに表れる
のです。

 

 漢方薬で治るときはこの逆で、不調や病気がいつの間にか
消えていくようなパターンと比較的早く消えていくパターン
があります。

 

 どちらの治り方にしても、崩れたバランスが回復しないと
再発したり、違う形で不調や病気として表れますので、
アンバランスな状態をしっかり修正することが重要です。

 

 アンバランスな状態からバランスのとれた状態へ移る
過程で、小さな変化に気づくことがあります。

 

 例えば、「肩が楽になった」「顔色がよくなった」
「寝つきがよくなった」「目覚めがすっきりしている」
「悪夢を見なくなった」「化粧のノリがよくなった」
「頭痛が軽くなった(無くなった)」「疲れにくい」
「身体が温かい」「食事が美味しい」・・・など。

 

 些細な変化かもしれませんが、バランスが調うことで
心と身体が本来の調子を取り戻したといえます。
そして、私は劇的な治り方よりも、少しずつ調っていく
治り方の方が好ましいと考えるようになりました。

 

 劇的な治り方は、学会発表するにしてもインパクトが
強く、誇らしい気持ちにもなるのですが、ひょっとしたら
どこか心身に負担をかけてないかと気になるのです。
(アンバランスな部分が残っているかも・・・)

 

 突貫工事ではなく、一つ一つ丁寧にバランスを修正して
いくような治り方は、たぶん再発しにくいことでしょう。
その間の気づきで、生活習慣を若干でも修正できれば
さらに再発しにくくなるのです。

 

 身体に合う漢方薬とは、心身の、どこに、どんな形で、
アンバランスが生じているかを私たちに教えてくれます。
同じ病気でも、アンバランスのパターンは人それぞれ。
だから、体質を観る(バランスを観る)とは、心身の声に
耳を傾けることです。

 

 心身が崩れるときも、心身が調うときも、些細な変化に
気づけることが大事だと思います。

 

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 漢方薬東洋医学の相談、心療内科領域の心の相談、丁寧な説明

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グルコサミンとアルツハイマー型認知症

 関節サプリメント市場はとても活気のある分野です。テレビ
コマーシャルや通信販売を通して、かなりの金額が動いている
ことでしょう。(具体的な数字は興味がないので調べません)

 

 ヒアルロン酸やコラーゲン、コンドロイチン、グルコサミン、
などなど。これらで「楽になった」等と使用者の声として
紹介され、現在の治療に満足できない方たちの受け皿の一つに
なっています。

 

 これらが効くか効かないかは別にして、サプリメントや
健康食品に対する一般の方の印象は、「副作用がない」
「安全」というものでしょう。
私は「そんなことはない」と、ときどきお伝えしてきましたが
ちょっと気になる報告があるので紹介します。

 

 フロリダ大学のホーキンソンらの報告によると、グルコサミンが
アルツハイマー型認知症を加速させる可能性が高いようです。
これには、糖鎖蓄積(ハイパーグリコシル化)という機序が
関係しており、5年間の追跡でグルコサミンを摂っていた群は
25%のリスク増だったとされます。
 Hawkinson TR, et al. Nat Metab. 2026 Jun 9.
 [Epub ahead of print]

 

 グルコサミンを飲む方は高齢の方が多いと推測されますが、
認知症の予防にも関心が高いと思います。5年で25%増と
いうのは決して低くない結果です。「サプリメントだから
安全」という妙なイメージは捨てて、本当に必要かどうかと
いう視点で判断していただけたらと考えます。

 

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痛みと睡眠、痒みと睡眠

 寝苦しい夜が続いていますね。
エアコンを上手に使いながら、快適な睡眠を確保して、日々の
健康作りに役立てたいものです。

 

 疼痛の相談者には「痛みで眠れない」とか「痛みで目が
覚める」と言う方がいます。睡眠が害されるほど、強い痛みを
抱えているんだなぁと共感しながら話を伺っています。

 

 今回、Painという医学雑誌に掲載されたシドニー大学の
Kangchao Wuらの論文によると、睡眠ホルモンとして知られる
メラトニンで筋骨格系の疼痛が緩和したとの報告がありました。

 

 また、痒みの相談でも同様に「痒みで眠れない」とか「痒みで
目が覚める」と言う方が多くいます。アトピー性皮膚炎や慢性
じんましんの方がほとんどですが、相談中もあちこちの皮膚を
ポリポリと掻いています。

 

 このようなケースでは、清熱解毒薬に分類される生薬を含む
漢方薬を使用することが多くあります。痒みと不眠を同時に
改善することが狙えるからなのですが、痒みの軽減とともに
睡眠も改善していくことを多く経験しています。

 

 今回の論文に触れたとき、痛みも同様に考えると良いかもと
頭に浮かびました。ただ、痒みに対する清熱解毒薬のように
一筋縄ではいきません。疼痛のメカニズムは東洋医学的にも
複雑なのでケースバイケースで対応せざるを得ないのです。

 

 それでも、新たな視点を得たことで、今まで改善が難しい
と思えた人でも、何らかの解決策を示せるようになると
考えます。

 

 今、私の頭には、補血薬や安神薬などが浮かんでいます。
これらをベースに慢性疼痛の相談に対応したら良い結果に
つながるかもしれません。慢性疼痛の相談者の体質と候補の
漢方薬がマッチすれば、きっと素晴らしい効果が得られる
ことでしょう。

 

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潰瘍性大腸炎に歯みがきがいいかも

 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が生じる病気です。
クローン病と同じく炎症性腸疾患の一つで、当薬局でも比較的
相談の多い病気です。

 

 当薬局に来られる方は、軽症~中等症で、圧倒的に男性が多い
印象があります。(統計では6:4で男性が多いとされます)
そして、ほとんどが漢方薬を求めて来られるわけです。

 

 潰瘍性大腸炎の原因は、まだまだハッキリしませんが、脂肪の
多い食事が炎症性腸疾患増加の原因の一つとして言われています。
また、近年は精力的に腸内細菌叢との関係も調べられていますが、
食事も結果的には腸内細菌叢に影響を及ぼす点では同じです。

 

 腸内細菌叢という点では、抗生物質の影響は無視できないほど
強力なので、日頃からできるだけ抗生物質の世話にならないよう
健康管理に気をつけることはとても重要だと思います。一部の
研究者は抗生物質の使用とアレルギー疾患の増加を関連づけて
いるように、〈抗生物質の使用→腸内細菌叢の変化→免疫系への
影響→アレルギー疾患や自己免疫疾患〉という流れがあるかも
しれません。

 

 さて、当薬局には重症の方の相談が少ないこともあって、
わりあい漢方薬での効果が高いと感じています。ただ、ある
程度よくなると途中で来なくなる方が大半で、その後も良い
状態が維持できているのか不明です。おそらく、安定したり
不安定だったりと症状に波があるのではと思います。

 

 そこで、タイトルにもあげた「歯みがき」ですが、腸内
細菌叢と口腔衛生との関連は、さまざま領域で確認されて
ますので、今さらって感じでもないのですが紹介します。

 

 済生会今治病院の八木専らの調査で、歯みがきの頻度で
潰瘍性大腸炎の粘膜状態が良くなるという報告です。
歯みがき頻度と粘膜治癒率の関係は、1日1回以下の群で
15.4%、1日2回の群で24.8%、1日3回以上の群で32.1%と
歯みがきの回数が多いほど大腸粘膜がきれいだったのです。

 

 八木らは、歯みがきというセルフケアで改善できる点を
評価しています。ただ因果関係を証明するには新たな研究が
必要なので早合点はできないけど、副作用などの心配のない
セルフケアなので、他の生活習慣病予防も兼ねて積極的に
利用するとよいのではと私は考えます。

 

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マイクロプラスチックが健康を害する時代

 今はまだ一部の研究者しか注目していないのですが、今後は
マイクロプラスチックやナノプラスチックと呼ばれる石油由来
製品の小さな破片が、私たちの健康を脅かす主要な原因の一つに
なるかもしれません。

 

 アメリカとイランの対立によって、私たちの生活用品の多くが
供給不安に陥りました。それだけ多くの石油製品に囲まれている
ことを再認識する結果になったことは、私は良かったことではと
考えます。

 

 プラスチックに代えて紙などの素材に変更したり、過剰包装や
カラフルな印刷が控えられたりしたのは、結果的にマイクロ
プラスチックを減らすことに繋がります。
この機会にマイクロプラスチックやナノプラスチックの健康への
影響を考えてみてもいいかもしれません。

 

 2024年の論文で、マイクロプラスチックが全身のあらゆる
臓器に分布していることが報告されました。
(Science. 2024; 386: eadl2746.)
肝臓や腎臓、血液や唾液、胎盤や乳汁、脳や毛髪、など至る所に
マイクロプラスチックが存在していることがわかりました。

 

 イタリアの研究チームは、首にある頸動脈のプラークの中に
マイクロプラスチックが入り込んでいる人は、そうでない人と
比べて、心筋梗塞や脳卒中などでの死亡率が高いことを報告
しています(N Engl J Med. 2024; 390: 900-910.)。

 

 また、マイクロプラスチックやナノプラスチックによって、
自律神経系や免疫系やホルモン系にも変化が現れることも
わかってきました。

 

 特に脳は、他の臓器と比べても桁違いの量のプラスチックが
蓄積しているようです。脳の成分とプラスチックが混じり
やすい性質が関係しているとされます。クレヨン1本分の
量のプラスチックが報告された論文もあります。

 

 その結果、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病との
関連も示唆される結果が報告され、どうも近い将来は、病気の
主要な原因の一つに上がってくるのではと私は推測します。

 

 たとえば、私たちが日ごろ口にするペットボトル飲料からは
7種類のプラスチックが検出されたそうです。食料品の包装
資材のほとんどはプラスチック製品ですから、チリも積もればで
私たちは気をつけていてもプラスチックを溜め込むような生活を
しているわけですね。

 

 しかも、医療現場でも、点滴などのチューブや注射シリンジ、
手袋やマスク、プラスチックに囲まれています。プラスチックから
逃れることなどできないのが現代社会です。

 

 個人のとれる対策などは、微々たるものかもしれません。でも
何十年か後には溜め込んだマイクロプラスチック類で平均よりも
早く病気になっているかもしれないのです。

 

 私の予想など、杞憂に終わってほしいのですが、今の現状を
知っておいても悪くないだろうと考えます。先ずは、入る量を
減らしてみること。そして、入ったのは大便として出すので、
便秘にならないこと。
今の私に提案できるのは、このくらいです。

 

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第33回セミナーのお知らせ

 今回のセミナーは、メンタルヘルスの領域で企画しました。
ストレス社会と言われて久しいですが、対処法としての
ストレスコーピングはストレスを発散させることが目的です。

 

 今回は、「レジリエンス」に注目して、ストレスを受けても
跳ね返す力(抵抗力)やストレスを受けた後の回復力を増やす
ためのワークも取り入れてみたいと思います。

 

 知識だけでなく、ワークも体験することで、より実生活に
役立つだろうと考えています。
参加をお待ちしています。


テーマ : 「心」の抵抗力・回復力 について

 

内容 : レジリエンスと自己肯定感
     日常の会話に潜む自己暗示(呪いの言葉)
     禁止令と拮抗禁止令
     抵抗力・回復力を増やすワーク    など

 

日時 : ①7月21日(火)18:30~
     ②7月23日(木)13:30~
     ③7月25日(土)10:30~
      いずれも同じ内容で 1~1.5時間程度

 

申込 : 電話 0258-37-7551 または
     メール 8hirohashi/gmail.com (/は@に変換)から
     氏名、電話番号、希望日時を忘れずにお知らせください
   (希望者が1名だけの場合、変更をお願いするかもしれません)

 

締切 : 7月17日(金)12時まで

定員 : それぞれ4~5名(先着順)

会場 : ひろはし薬局

参加費: 800円

 

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梅雨時の頭痛

 新潟県はまだ梅雨入り宣言を聞いてませんが、確実に気温も
湿度も上がってきています。気温が上がれば熱中症の危険性が
高まります。そして、湿度が上がれば、頭痛や関節痛などが
出やすくなります。

 

 自然と身体の関係って、つくづく不思議ですね。この関係を
哲学的に考察し、独自に発展させたのが東洋の思想ですし、
それを基に東洋医学や漢方医学は出来上がっています。

 

 ですから、気候など周囲の環境からどんな影響を受けて
身体はどのように変化するのか、という現代の気象病に属する
ような不調や症状への対処法は、漢方薬の得意とする分野の
一つです。

 

 その視点で、梅雨どきの頭痛を考えてみると、高温と高湿度
による影響で、体内も普段より高温と高湿度の状態になって
いると東洋医学では見たてます。東洋医学的に表現すれば、
「熱」と「湿」が原因で、頭痛などの症状が出やすくなって
いるのです。

 

 梅雨どきの頭痛は、「熱」と「湿」が基本的な病因ですが、
人によってはクーラーの冷えで頭痛になることもあれば、
エアコンの風で頭痛になることもあります。その場合は、
病因が「寒」や「風(ふう)」になりますので、同じ梅雨どき
の頭痛でも使用する漢方薬は異なります。

 

 ですから、私たち漢方家は、「頭痛」と聞いても、どんな
痛み方をするのか、どんな状況で出やすいのか、など頭痛の
特徴を確認して(もちろんクモ膜下出血や帯状疱疹、緑内障
発作などの緊急を要する病気を除外して)、その原因に
応じた漢方薬を選択します。

 

 よく漢方薬は「体質改善」といわれますが、「体質強化」の
一面もありますので、ある程度継続して使用していると、頭痛の
頻度も強さも軽減してきます。漢方薬は、「治療薬」でもあり
ますし、「予防薬」にもなるのです。

 

 カロナールやロキソニンもよい薬ですが、漢方薬の特徴も
知っていただき、上手な体調管理に、そして健康づくりに、
役立ててください。

 

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