解熱剤とライ症候群

昨日は日帰りで茨城県つくば市に行って来ました。私が所属する薬局団体・日本薬局協励会関東甲信越合同支部大会に出席するためです。宇宙飛行士の毛利衛さんの講演もありましたが、人生観・生命観に話題が及び、宇宙から地球を見て価値観も変わったのかとの印象を受けました。


総合感冒薬(いわゆる風邪薬)には、解熱鎮痛薬・抗ヒスタミン薬・鎮咳去痰薬・・・など複数の成分で出来上がっています。解熱薬は解熱鎮痛薬と言われ、脳に働きかけて解熱と鎮痛の両方に効果を現します。


熱が高い時は、誰しも早く熱を下げたいと思いますよね。当然なのですが、発熱は闘病反応であり免疫力を上げることで治癒を早くすることがわかっています。いくつかの研究で示され、医師の多くが解熱薬を頓服で処方するようになった理由です。


またライ症候群という急性脳症があり、ある種の解熱薬を使った場合に発生が多く認められることから解熱薬の使用が控えられていることも背景にあるでしょう。ある種の解熱薬というのはサリチル酸系の解熱薬を指します。


一般的な風邪薬に入っている成分で言えば、エテンザミド・アセチルサリチル酸(=アスピリン)ですね。ライ症候群とサリチル酸系解熱薬の発表がされてから、私はサリチル酸系解熱薬配合の総合感冒薬は積極的に販売することを控えています。店頭にも陳列しないようにしています。


因果関係はハッキリしていませんが、サリチル酸系解熱薬は一般の総合感冒薬にかなり使用されています。なおライ症候群は15才以下の小児に高率に現れており大人では関係ないのかもしれないのですが・・・。


大人でも気になる方は成分を確認して購入するのがベストでしょう。耐えられる程度の発熱なら下げないほうが早く治りますから解熱剤を使わないのも方法です。私は抗ヒスタミン薬だけで対応することも多くありますし、漢方薬で対応することもあります。


かぜ症候群・インフルエンザで漢方薬と通常治療(抗生物質タミフルなどを使用する)の効果を比較した研究があります。漢方薬使用のほうが1〜2日早く解熱しており、治療効果では漢方薬に軍配が上っています。


治療効果・安全性・5日間の医療費や薬剤費(ちなみに当薬局では2500円です)、などの点で私は漢方薬を奨めることも多くあります。話は逸れましたが、これから風邪シーズンに入るに当たり解熱剤の使用には慎重になったほうがよいでしょう。

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