アケビを見て

3週間ほど前に近くの里山を散策した折り、アケビを見つけました。種の周りの白い果肉の部分が甘くて、子どもの頃おいしく食べた思い出が蘇りました。でも種ばかりで食べるところは少ないんですよね。


さて、アケビは春の山菜として新芽をキノメと呼び、重宝されています。以前フジの新芽をキノメと間違えてたくさん取ったのにベテランの人に違う!と笑われてしまいました。キノメが珍重されるわけがわかります。


漢方では蔓の部分を木通(モクツウ)あるいは通草(ツウソウ)と呼びトウキシギャクトウ・トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウに配合されています。利尿作用に優れ腎炎や膀胱炎に利用できますが、中国で木通というと関木通のことを指し植物が違うので気をつける必要があります。


10年位前に漢方薬で腎炎を起こした例が報告されていますが、中国から輸入したトウキシギャクカゴシュユショウキョウトウでした。木通の代わりに関木通が使用されていたのが原因でした。


同じ生薬名でも日本と中国で使用植物が異なることがたまにあります。日本で正規に流通している漢方薬なら、まず間違いありませんが、個人輸入や土産の漢方薬には充分注意する必要があります。もっとも製品として出来上がったものですと我々生薬を日頃扱う専門家でも真偽はわかりませんから、購入しないようにするのが一番です。


流通のグローバル化規制緩和で消費者の自己責任が問われる時代になってきました。目的の品が手軽に安く入手できることはすばらしいことですが、モノの値段と専門家の知識を分けて考える必要があるのかなと思います。今は専門家の知識がタダ同然で考えられているようで、ハードも大切ですがソフトも重要だと思う今日この頃です。


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