MRSEという菌をご存知でしょうか。メチシリンという抗生物質が効かないブドウ球菌のことです。20世紀の医療は抗生物質の発見やステロイドの使用などで飛躍的に発展しました。
ところが抗生物質の乱用に対して生き残る術を獲得した菌が医療を脅かしています。耳鼻科領域では抗生物質の効き難い菌が蔓延し問題となっています。皮膚科領域でも硫酸ゲンタマイシンが効き難い菌が増えているとの報告があります。
硫酸ゲンタマイシンは薬局で販売できる軟膏剤に含まれています。医師が処方する軟膏ではトップクラスの売上ですから非常によく使用されている成分といえます。当薬局でも先日硫酸ゲンタマイシンが効かないケースを経験し、耐性菌問題が身近に迫っていることを認識せざるを得ません。
これから”かぜ”の本格シーズンに突入するわけですが、呼吸器学会など主要学会では”かぜ症候群”に対して抗生物質を安易に使用しないよう数年前からガイドラインで示しています。にもかかわらず抗生物質の安易な処方が続いているのが現実なのです。
効果がない抗生物質の使用は、耐性菌を生むだけでなく、お金を払って副作用に苦しむリスクを負うことにもなります。耐性菌は医師の処方だけでなく、勝手に使用を中止したり残っている抗生物質を中途半端に使ったりすることでも生じます。
必要最小限の薬で治療する良心的な医師を評価し、処方された薬は指示通りに使用することで耐性菌の発生をできるだけ少なくしたいものですね。
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