中国製ギョーザで中毒

どのような経緯かは不明ですが、農薬混入による食品での中毒が報道されています。流通が発達しグローバル化が進んだ結果、従来のチェックでは防ぎきれなくなってきたのでしょうね。“食”は生活や健康の根本をなす部分であるだけに、身近な問題として考えたいものです。


混入していた農薬はメタミドボスという有機リン系の殺虫剤とのことでした。有機リン系の農薬は日本でも一般的に使用されています。スミチオンという名前なら聞いたことありませんか?また、毛ジラミの治療薬(というより駆除薬)のスミスリンも有機リン系の殺虫剤です。


人体に対する毒性から用途が決められますが、有機リン系の薬剤はコリンエステラーゼという体内酵素を抑えて毒性を発揮します。農薬類の多くは脂溶性と考えてよく、調理の際に油を使うと吸収が高まります。今回の中毒事故のギョーザだと、揚げギョーザで食べると危険性は一番でしょう。


中毒症状はコリンエステラーゼの阻害程度により違いはありますが、50%以上阻害されると危険とされます。(医療現場では血清コリンエステラーゼ値を測定します)瞳孔の縮小が起これば80〜90%の阻害と考えられ意識も混濁したり障害が見られるようになります。


下痢や嘔吐は比較的軽い段階から現れ、異物(この場合はメタミドボス)を排泄する体の防衛反応として機能します。よく牛乳を飲ませると思っている人がいますが、脂溶性の薬物では逆効果です。どのような薬物であれ意識があれば水を飲んで吐くのが応急手当の正しい処置法になります。医療機関で適切にかつ速やかに対応してもらうために食べたものも一緒に持っていきましょう。


私は兼業で稲作をしていますが、7〜8年前から農薬を極力抑えた栽培を心掛けており、3年前からは新潟県の認証基準に従って、化学肥料と農薬を通常栽培の半分以下に減らしています。収量は落ちますが、安全性を優先させるべきと考えています。ホームページにもう少し詳しく載せています。


漢方原料の生薬も大半は中国産ですが、仕入れ先のウチダ和漢薬は4〜5年前から残留農薬のチェックを始めており、当薬局では安全性に問題ないと考えられます。(その分仕入価は上がりました)ただ、油断しないで現物をチェックしていこうと思っています。


今回の中毒に関する部分は「薬・毒物中毒救急マニュアル」(医薬ジャーナル社)を参照しました。


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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
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