腰痛に特効薬はあるか

私は数年来の腰痛持ちです。完全に良くなることはありませんが、何とか小康状態を保っています。先週金曜日に「日常よく遭遇する腰痛疾患の診断と治療」と題した講演を聞いてきました。講師は独協医大の野原整形外科教授。


野原教授の専門が脊柱側湾症なのかもしれませんが、チョット主題から逸れた内容であったのが残念です。でも慢性腰痛の原因として多くを占める椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症の話が少しでも聞けたことは幸いでした。


椎間板ヘルニアは脊椎同士の間にあるクッションの役目を持つ椎間板の髄核が脱出(ヘルニア)することで神経を圧迫し症状が生ずると考えられています。


髄核が脱出する過程で、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が生成され、痛みなどを起こすようです。完全に脱出すれば痛みは軽くなるようです(炎症性サイトカインが減少するため)。


その後脱出した髄核は貪食細胞に処理されてヘルニアのない状態に戻ります。この髄核を除くのが手術やレーザー治療だったわけですが、MRI検査により元に戻ることが明らかになってから治療方針に変化が現れたことでしょう。


脊柱管狭窄症は、別の理由で脊柱管という神経が通っている管が細くなり神経を圧迫する結果、しびれを中心に症状が現れます。”みのもんた病”と説明する医師もいます。


どちらも最終的に神経を圧迫するのですが、その前段階として筋力の低下による脊椎の不安定があるようです。確かに私も運動から遠ざかり筋力の低下を自覚し出してから腰痛になったように思います。


そうすると運動によって筋力を維持する(特に腹筋と背筋)ことは腰痛の予防や早期回復に非常に重要な意味を持ってきます。高齢女性に多い骨粗鬆症が原因の腰痛も運動が骨質を強化することから、運動をおろそかにした治療はありえないと考えられます。


野原教授が手術したケースでも、手術後にしばらくすると上下の脊椎に同様の変化が起こると説明がありました。運動の代わりになる薬は存在しませんが、完璧な治療も存在しません。だから接骨院・整体・カイロプラティックなどが存続しているのでしょう。


結局、薬剤師の立場からすると、しびれや痛みなどの症状に対してある程度対症療法的な薬はありますが、根本治療につなげるには腹筋背筋を鍛えることが必要だと再認識しました。


整形外科的な腰痛に対して運動は大切ですが、内科的・婦人科的・心理的にも腰痛は生じます。まずは腰痛の原因がどこにあるのかを確かめ、いくつかの治療法を試みられるのが大切かと思います。


そして腰痛を防ぐためにも回復するためにも、腰周りの筋肉を鍛えましょう。幸い身体を動かすには絶好の季節になってきました。


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