痛み止めによる消化性潰瘍

痛み止め(解熱鎮痛剤)は、いろいろな場面で使われており副作用も比較的に多い薬剤です。カゼや発熱で使われたり、腰痛・神経痛・関節痛・リウマチなどで使われたり、血液を固まりにくくするための低用量アスピリン療法など本当に多く使用されているのです。


昨日は川崎医科大学内科学教授春間賢先生の講演がありました。春間教授の話を聞くのは2回目で、今回はNSAIDs(解熱鎮痛剤)による消化性潰瘍の実態とその対策についての内容でした。


解熱鎮痛剤で胃腸の障害(炎症や潰瘍など)が起きやすいことは有名な事実ですね。どの程度の頻度で起きるかというと奈良県立医大整形外科矢島弘嗣准教授らの調査では1ヶ月以上の使用者の63%に認められたと報告されています。


カゼで1ヶ月以上薬を飲むことはないと思いますが、腰痛・神経痛・リウマチ・低用量アスピリン療法など1ヶ月以上解熱鎮痛薬を飲むことは珍しくありません。3人飲めば2人は何らかの胃腸障害が起こっているのです。


潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍など)は約10%、消化管出血は約5%に起きています。特に出血を起こすと生命の危険もありますから、薬の使用頻度・傷害の頻度を考えると楽観できる状況ではありません。


以上の状況から、過去に潰瘍を起こしたことがあるなど危険性の高い人には胃酸分泌を抑えるH2ブロッカーやPPIなどの薬剤の使用で消化管障害を予防する方法が行われます。保険上・金銭上の関係で全員に行うことは難しいのですが・・


解熱鎮痛剤が消化管障害を起こすことは、薬の作用上やむを得ないことで、坐薬やシップ薬でも消化管傷害が起きますので兎に角解熱鎮痛剤を使うときは常に気をつけている必要があります。1週間程度の使用でも傷害は発生してますから短くても安心できません。


最近は消化管障害を起こしにくい薬剤が開発され徐々に使われていますが、効果や薬価などの関係で使用割合はまだまだ少ない状況です。解熱鎮痛剤が出たら胃腸の具合にも気をつけるようにしましょう。

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