妊婦とアレルギー性鼻炎

はるか遠い昔(?でもないか)、我が女房殿はアレルギー性鼻炎のためクシャミがひどく、そのために長男は予定日よりかなり早く生まれてしまいました。このような経験があったので、花粉症の妊婦さんには一言注意したくなります。


妊婦さんにとって一番気がかりなのは薬が胎児に悪影響を与えないかということです。胎児に対する影響は、点鼻薬や点眼薬などの局所に使用する薬の方が飲み薬よりも安全性が高いことがわかっています。


ですから、薬を使うならばできるだけ点眼薬や点鼻薬を選ぶことが望ましいのですが、どうしても飲み薬が必要である場合(例えば流産や早産の可能性が考えられる症状)は、妊娠週数によりできるだけ影響の少ない薬を選ぶことが大切です。


ただその前に、安易に薬に頼るのではなく薬以外の方法をできるだけ行って、除ききれない症状に対してどの薬剤を選ぶか考えなくてはいけません。それは倫理上、人体実験が出来ないために薬の妊婦への影響度は、不明のものが多く経験上多く使われた薬なら安全性が高いだろうと判断せざるを得ないことから極力最小限の使用に留めたいからです。


週数で言えば、妊娠3週まで(まず妊娠に気づくことはない)は薬による影響があれば、自然流産するので無影響期とされています。でも最近の薬は体内に影響が長く残るタイプが好んで使われますからできるだけ飲み薬は避けることが望ましいでしょう。


妊娠4〜7週は絶対過敏期とされ中枢神経・心臓などの重要臓器が形成される時期ですから局所使用薬であってもできるだけ使用しないことが原則です。


妊娠8〜15週は絶対過敏期ほどではないにせよ性器や口唇などの形成が行われる時期で、できるだけ使用しないことが望まれます。妊娠に気づく時期は、通常4〜15週の器官形成期ですから妊娠適齢期の女性には細心の注意を払って薬を考えなくてはならないのです。これは漢方薬といえども同様で、時々医師でも安易に(?苦渋の決断かもしれませんが)漢方薬を使っているケースに遭遇することがありビックリします。


妊娠16週以降は奇形のような異常は起こることがまずなく、とりあえず安心できます。でも成長などに悪影響が及ぶことも考えられますから、やはり細心の注意のもと最小限で使用することが必要です。


医療関係者に参考とされるのが、アメリカ食品医薬品局(FDA)とオーストラリア医薬品評価委員会(ADEC)の分類基準です。残念ながら日本ではこのような分類はないと思われ、現場の医療関係者は本当に苦渋の決断をしているのではないでしょうか。この両方の分類でも共にAランクに位置する医薬品はなく、経験上クロルフェニラミンの安全性が高いとされているのです。


クロルフェニラミンは市販の薬品にも多く使用されている薬剤ですが、妊婦が自己判断で花粉症の薬を選ぶことはお奨めできません。基本はマスクやメガネでアレルゲンとの接触を避けること。ビタミンAなどで粘膜を強化してアレルゲンの浸入を防ぎたいところですが、ビタミンAにもサプリメントでの大量摂取で奇形性が報告されてますから、ビタミンだからサプリメントだからは通用しません。


妊娠している方、妊娠を計画している方、妊娠する可能性のある方は、自己判断せず医師薬剤師に相談してください。

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