ドラマ「途中下車」を見てパニック症を考える

大抵のところは、昨日今日で今年の仕事納めでしょうか?私のところは、貧乏暇なし、31日午前中までは開局しています。
今年?は、久々に1月1日の休日当番で仕事が始まります。全国的にインフルエンザが流行気に入っていますから、どの程度バタバタするかわかりませんが、足手纏いにならないよう頑張ってきます。

先日、NHKで放送された「途中下車」はパニック症を取り上げたドラマでした。パニック症・不安症・不安神経症、医学的な表現の違いは無視して、不安感で発作的に体調が悪くなることは誰にでも起こり得ます。また、増加している印象を受けます。厚生労働省が5大疾患に入れた精神疾患は、自殺3万人時代の現在、対策が急務でもあります。

私のところにも、うつ病躁うつ病適応障害統合失調症・不安神経症強迫神経症境界性人格障害などパーソナリティ障害・摂食障害・身体表現性障害・不登校自律神経失調症・ひきこもり・・・・など、多数の精神疾患やこころのトラブルを抱えた相談が増えてきました。その多くは、漢方薬を求めてくることが多いのですが、心理療法を行うことも増えています。

今回のドラマでは、野際陽子がカウンセラー役として登場しました。私の印象としては、全般的に支持的な対応で終わるのでなく、もう少し積極的な介入場面も期待したいと思いました。私が一番に思いつく方法は、森田療法です。北村一輝演じる主人公が子供と一緒に電車で海に行く場面で、発作に襲われます。この時に、子供から渡されたチュッパチャップスを舐めながら「どんな味がする?」と聞かれることで、意識が発作から離れてゆくのですが、ここはもっと強調してほしかったと思いました。残念ながら、野際陽子の口から出た言葉は「何で行ったの?少しずつでなきゃダメでしょう!」で、せっかく芽生えだした自信を崩すような感じを受けました。

立山に行く場面では、行動療法の視点も取り入れているのか、根負け?して同意したようですが、意欲のある時はチャンスと捉えることも必要です。でも、私が野際陽子の立場なら、やはり躊躇していたことでしょう。海に行った後、何回くらい電車に乗れたかわからないので何とも言えませんが・・・。

妻役の原田知世も途中で過敏性腸症候群と思える症状で入院します。このことで、二人とも今までの生活の中での誤りに気づくという設定でした。その誤りとは、自分を甘やかさず何事も極限近くまで頑張りすぎるということ。その結果、自分のことだけでなくパートナーや子どものことも見えなくなっていたという現状に。家族療法と言う大袈裟なものではありませんが、そんな視点も感じられましたね。最近知った言葉に「治療的な環境が治癒を促進する」があります。治療的な環境とは、病医院や薬局だけではなく、家庭であり、会社や学校であり、地域社会です。私らが治療者としてかかわれる時間は1%あるかないかですから、日常生活の中にこそ治療としての薬が存在もするし、逆に毒も存在するのです。

最近、「治ること」と「治すこと」との違いを意識しています。自然に治る環境を提供したり誘導出来たら、自然に治ることで自信にもつながるし再発予防にもなると思うのです。漢方的な考えでもあるのですが、ある心理療法セミナーでも学んできました。その勝手に治ることを意識してセラピーを行ったAさんから頂いたメールを紹介します。

 『こんにちは先日お世話になったAです。先日はカウンセリングありがとうございました。
  先日息子のお遊戯会も心配しましたが朝から調子が良かったので○○湯を飲まずに行きました。
  自分でも驚く程なんのことはなく終わりました。
   昨日は、母と新潟市の方に出かける予定でギリギリまで悩みましたが、先生に「0か100ではなくて30でも50でもいい」と
  言う言葉を思い出して思い切って行くことにしました。○○湯は飲みませんでした。
  行く道中は大丈夫だろうかと緊張しましたが、ま、とりあえず行ってみよう。とりあえず運転だ。と現在を見つめてみました。
  車の中で母と私の体調の話をして、その後も買い物も無事できましたが外食はやはり、あまり気が進まずやめました。
   前のように外食を考えただけで苦しくなったりはしませんでした。
  途中で疲れたので車に戻り一休みしながら自律訓練法をして気持ちを落ち着かせました。 
  その後だいぶ気持ちが楽になり無事にB市まで帰ることができました。
  先生のお話を聞かなかったらきっと行くのをやめて出かけるのが更に億劫になったのではないかと思っています。
  昨日の夜は今までより少し食べる量も増えておいしいな。と久しぶりに味わいながら食事しました。
  先生に教えていただいたことを思い出しながらまた少しずつ体調を整えて行きたいと思います。
  今日は朝から気持ちがすっきりとして気持ちがいいです。』

Aさんには、「不安の起こる仕組み」と「0-100思考でないグラデーションの世界」を教えてあげました。多分これだけです。後は発作によって忘れていた過去の何でもない場面や発作が起きそうになっても何事もなかったような場面の話を思い出してもらうような会話をしただけです。グラデーションの世界なんて誰でも知っていることですし、新しい知識としては不安の起こる仕組みを教えただけです。治る力を引き出す方が、Aさんは今後も上手くやっていけますから、そのことだけを意識してセラピーを行いました。私が出した薬はありません。ブリーフサイコセラピーとして2回面接をしただけです。薬を出せば、薬に頼ってしまいますから、本当の治癒にはなりません。必要最小限の薬を使うにとどめることが肝心かと考えます。新しいスキルや知識は、調子が良くなってから増やす方が効果的で、治る力を育て強化することになります。ブログやメルマガは、このことを可能にしますね。

森田療法認知行動療法も素晴らしい心理療法です。自律訓練法交流分析は私もよく使います。どれが優れているというよりも、それぞれ特徴がありますから上手くメリットを活かせるのが名セラピストなのでしょうね。対人関係療法・ナラティブセラピー・再決断療法・可能性療法・動機づけ面接・実存療法・内観療法・家族療法・ゲシュタルト療法・EMDR・TFT・催眠療法など今まで勉強してきた数々の治療法をを駆使しながら、カウンセリング技術の向上に努めたいと思っています。


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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
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