ヘルペスと疲労

先週に聞いた学術講演会の内容から

ヘルペスウィルスも必死なんだなぁ・・・」と思ったのが素直な感想。ヘルペスウィルスの仲間はたくさんあって(居て?)初感染した後は私たちの神経節やB細胞などに潜伏しています。そして、私たちが体調を崩して、いわゆる免疫力が落ちた状態になると、神経細胞を伝わって体表(皮膚)に出てきます。唇に出てくると口唇ヘルペス、性器に出れば性器ヘルペス、末梢神経に沿って出れば帯状疱疹と名前が変わります。

そこで今迄からずーっと疑問に思っていたことがありまして、「ヘルペスの連中は体内の何を感知して体表に出てくるのか?」これを考えていたわけです。それが先週の東京慈恵会医科大学客員教授・本田まり子先生の講演を聞いてメモリーT細胞の監視の目を潜って出てくるということがわかり妙に納得と感心をしているところです。そして発病のきっかけとなる体調の変化としては『疲労』が多いことも示され、改めて疲れと免疫の関係に興味がわきました。

免疫系が弱くなってヘルペスウィルスが活動しやすい状況ということは、私たちの身体はいろいろな病気にも罹りやすい状況ということです。かなり長期間、つい最近まで人類の生存が感染症との闘いだったことを考えれば、免疫力の低下は遠くない将来に死亡するかもしれないことを意味します。体内に住んでいるウィルスにしてみたら「棲み家が無くなる危険」となるわけですから必死です。体表(皮膚)に出て、新しく棲むところを探す必要があるわけで、これがヘルペスの発症です。ナルホド〜!と納得した次第です。

そこで疲労と免疫の関係を調べてみたのですが、かなり複雑です。10年くらい前の論文がヒットしたので古い内容かもしれませんが、疲労によってNK細胞などは減るもののT細胞系は逆に増加するとのことです。T細胞と言ってもアクセル役とブレーキ役もあり、もっと詳しく調べないとわかりませんが、免疫細胞に変化が出るような疲労は「ウィルスが引っ越しを考える」ほどのちょっと危ない疲労なのだということを認識する必要があるかも知れませんね。

口唇ヘルペスが出やすい人には、今は便利な抗ウィルス薬の軟膏がありますが、軟膏を塗ってマスクで隠して普段通りの生活では、せっかくのサインを見逃すことにも成りかねません。
「病が語る」「病気が知らせてくれる」身体の変化をキャッチして、必要な養生をすることが賢い方法かなぁと思います。

慢性的な疲労を、漢方では『虚労』といいます。それによれば最悪の場合は不整脈を生じて死に繋がると記載があり、過労死や突然死をイメージさせます。たかが疲れ、かもしれませんが、されど疲れです。疲れを残さないよう休息をしっかりととるようにしましょう。

私なりに疲労と免疫の関係を想像してみると、疲労とは酸化ストレス(活性酸素)が増加して処理が追いつかない状態ですから、酸化ストレスが免疫系を乱しているのでしょう。今や乳酸は疲労物質ではないことは明らかになってますから、酸化ストレスを速やかに処理するもの(薬品にも食品にも多数あります)を適切に使用して休養すれば、病的な疲労に発展しないであろうと考えています。
何を使うかは、酸化ストレスの種類(おそらく疲労の種類により変化しているはずです)などにより、」適宜選択して組み合わせることがポイントかと思います。私としては多成分系の天然薬物を洗濯したいと思っています。

まだ、浅はかな知識の段階ですが、疲労もいろいろな病気の引き金になりますから、適切な対処を提案できるよう少し研究してみたいと思いました。必死なヘルペスに再認識させられた「疲労」でした。


漢方薬心療内科相談・心理カウンセリング・皮膚科の病気・生活習慣病不妊
新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局
http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/

過去のブログの主なものはホームページにリンクを貼ってありますから、見たい記事がありましたら《ひろはし薬局のホームページ→過去のブロ
グ》から探してみてください。(現在の更新はしてませんが・・・)
  あるいは⇒http://www3.ocn.ne.jp/~hirohasi/sub6.htm

メールは《Re:タイトル》でお願いします。メールマガジンの申込も随時受付中
     ⇒8hirohashi@gmail.com

薬事法の関係で、具体的な薬品名は表示を控えています。お知りになりたい場合は、直接ご連絡ください。

講演の依頼に関しては、ホームページに掲載してある講演内容を参考にして、お申込下さい